8月のカナダ消費者物価指数、前年同月比1.9%上昇

(カナダ)

トロント発

2025年09月19日

カナダ統計局が9月16日に発表した2025年8月の消費者物価指数(CPI)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、前年同月比1.9%上昇で7月の上昇率(1.7%、2025年8月22日記事参照)を0.2ポイント上回った(添付資料表参照)。

統計局は、伸びが加速した主な要因として、8月のガソリン価格は前年同月比で12.7%減となり、7月の16.1%減から下落幅が減ったことを挙げた。また、食肉は7.2%増と、7月の4.7%増を上回るペースで上昇しており、特に生鮮・冷凍牛肉(12.7%増)と加工肉(5.3%増)が価格上昇を牽引した。基準年の影響により、衣料品・履物も1.7%の上昇(7月0.8%増)を記録した。携帯電話サービスは7月の6.6%減に対し、8月は1.2%減と下落幅が縮小し、新学期セールの減少により前月比では1.5%の上昇となった。なお、ガソリンを除いたCPIは、過去3カ月連続で前年同月比2.5%上昇が続いていたが、8月は2.4%増にとどまった。

一方で、物価上昇の加速を抑制した要因として、旅行ツアーと生鮮果物の下落を挙げた。8月の旅行サービスは前年同月比で3.8%減少し、7月の1.2%減から下落幅が拡大。米国向け旅行需要の減退が影響し、旅行ツアー価格は前年比9.3%の下落となった。生鮮果物は、7月に3.9%上昇した後、8月は1.1%の下落に転じた。この下落には、ブドウ、その他の果物、ベリー類(チェリー含む)の価格低下が大きく寄与した。

発表を受けて、トロント・ドミニオン銀行の調査部門TDエコノミクスのディレクター兼シニアエコノミストのアンドリュー・ヘンシック氏は、カナダ経済が失業率の上昇や雇用喪失の増加を背景に減速傾向を示しているほか、報復関税の撤廃が物価上昇圧力の緩和につながると分析。こうした状況を踏まえ、カナダ中央銀行は9月17日の会合を含め、年内に2回の利下げを実施する可能性があると予測した(TDエコノミクス9月16日)。

(井口まゆ子)

(カナダ)

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