中国、1~9月の経済成長率は5.2%、政府目標を上回るも投資が減速
(中国)
武漢発
2025年10月22日
中国国家統計局は10月20日、2025年1~9月の経済指標を発表した。同期の実質GDP成長率(前年同期比)は5.2%となり、第2四半期までと同様に政府目標の5.0%前後を上回った。第3四半期(7~9月)は前年同期比4.8%で、第2四半期(5.2%)から0.4ポイント減速した(注1)。
1~9月の主要経済統計(添付資料表参照)をみると、消費(社会消費品小売総額)は前年同期比4.5%増となり、上半期(前年同期比5.0%増)から0.5ポイント低下した。内訳は、商品小売額が4.6%増、飲食業収入が3.3%増、インターネット上の小売額が9.8%増となった。
また、商品小売額の前年同期比の伸び率を業種別(注2)にみると、2024年から続く消費財の買い替え支援策(「中国の設備更新と消費財買い替え推進政策の最新動向」特集参照)の効果もあり、家電・音響機材(前年同期比25.3%増)、家具類(21.3%増)、通信機器(20.5%増)、文化・事務用品(19.9%増)などが、軒並み堅調だった。
投資(固定資産投資)は前年同期比0.5%減と、上半期(前年同期比2.8%増)と比較して大幅に減速した。その内訳として、製造業投資は4.0%増と比較的堅調だったものの、これまで投資全体を下支えしていたインフラ投資が1.1%増と伸び悩んだほか、不動産開発投資は13.9%減と依然としてマイナスが続いている。不動産市況は、新築不動産販売面積が5.5%減、販売金額が7.9%減となるなど、引き続き厳しい局面となっている。
工業生産増加額(付加価値ベース、注3)は、前年同期比6.2%増だった。製品別では、3Dプリンター(40.5%増)、産業用ロボット(29.8%増)、新エネルギー車(29.7%増)などがいずれも高い伸びをみせた。
消費者物価指数(CPI)および生産者物価指数(PPI)上昇率は、それぞれ前年同期比マイナス0.1%、マイナス2.8%だった。
国家統計局は1~9月の経済状況について、「成果を十分に評価する一方で、外部の不安定・不確定な要素は依然として多く、国内の一部分野においては構造的な矛盾が生じており、企業経営が多くの困難に直面している」として、国内市場における構造的な問題についても言及した(注4)。また、第3四半期のGDP実質成長率が減速した背景については、「国際的には、一部の国が関税を乱用したことで、国際経済・貿易の成長における不安定性・不確定性が高まっている。国内的には、経済構造調整における重要局面にあり、長年蓄積してきた構造的な課題の解決が必要」と説明した。
(注1)第1四半期(1~3月)は前年同期比5.4%、第2四半期(4~6月)は5.2%だった。
(注2)年間売上高が2,000万元(約4億2,000万円、1元=約21円)以上の卸売企業、500万元以上の小売企業、200万元以上の宿泊・飲食業企業が対象。
(注3)年間売上高が2,000万元以上の工業企業が対象。
(注4)近年、特に価格競争が激しい中国国内の自動車市場などにおいて「内巻」と呼ばれる過度な競争が問題視されており、政府は是正に向けた措置を講じ始めている(2025年7月25日付地域・分析レポート前編・後編参照)。
(西島和希)
(中国)
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