第17回関西日韓経済フォーラムを大阪で開催、テーマはスタートアップ協力

(日本、韓国)

大阪本部海外ビジネス推進課

2025年10月02日

近畿経済産業局と在大阪韓国総領事館、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)は930日、日韓国交正常化60周年を記念し、大阪で「第17回関西日韓経済フォーラム」を開催した。

同フォーラムは、近畿経済産業局と在大阪韓国総領事館が連携し、両国の経済動向や通商に関わる情報交換、関西と韓国のビジネス交流の促進を目的に、2008年から定期的に開催している。17回目の今回は両国のスタートアップ(SU)協力がテーマで、登壇者から両国の連携強化に向けた発言が相次いだ。

韓国外交部の金希相(キム・ヒサン)経済外交調整官は冒頭のあいさつで、韓国ではSUが今後の経済の核となると捉え、SUエコシステムや創業環境の整備を行っていると紹介した。次いで、SU発展には両国の協力が不可欠で、20252月開催の「日・韓ベンチャー・スタートアップ投資サミット2025」では、290億ウォン(約29億円、1ウォン=約0.1円)規模の共同基金設立で合意したことに言及した。さらに、両国はこれまでさまざまな課題に直面してきたが、未来志向で協力を推進していきたいと語った。

写真 金希相経済外交調整官のあいさつ(ジェトロ撮影)

金希相経済外交調整官のあいさつ(ジェトロ撮影)

近畿経済産業局の信谷和重局長は昨今の日韓関係は強固に安定していると指摘した。具体的には、8月に韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が訪日して、17年ぶりに「共同文書」を発表したことや、石破茂首相が9月30日に釜山を訪問し、日韓首脳会議を開催したことに言及した。また、今回のフォーラムのテーマが「日韓のSU協力」で、9月17~18日に開催された「Global Startup EXPO 2025」(2025年9月24日記事参照)に韓国のSU7社が参加したことを紹介した。さらに、両国はともにイノベーションの中心地としてこのような両国関係の強固な基盤の上にある関西と韓国の経済関係のさらなる発展に期待していると語った。

大阪商工会議所(OCCI)の鳥井信吾会頭は昨今の韓国との取り組みについて紹介した。日本商工会議所と大韓商工会議所は2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)開幕前の2024年11月に「第13回日韓商工会議所首脳会議」を大阪で実施したほか、2025年3月には多数の韓国SUが参加した「DocoDemo Festival Osaka」(注)を開催したことを指摘した。さらに、万博開幕後はKOTRAや韓国輸入協会と連携した商談会を大阪市内で行っており、閉幕後の10月末にも韓国コンテンツ振興院との共催で、商談会を予定していると述べた上で、両国は自由主義経済を保つとりでとして、より一層の関係強化が必要だと強調した。

基調講演では、韓国の中小ベンチャー企業部や中小ベンチャー企業振興公団、日本の近畿経済産業局が各国のSUエコシステムと支援策に関して発表した。セミナー後半には両国のSUによるピッチプレゼンテーションがあり、モビリティー、ヘルスケア、リハビリテーション、水質分析、産業用素材、障害者支援、食品ロス対策、製造業支援、現場業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)化などの分野の企業が登壇し、自社事業の紹介と必要としている支援について説明した。

写真 ピッチプレゼンテーションの様子(ジェトロ撮影)

ピッチプレゼンテーションの様子(ジェトロ撮影)

(注)大阪・関西万博会期前に大阪に先端的な取り組みを行うSUを集め、商品、技術、サービスのショーケースを通じて事業成長を支援するプロジェクト。

(齋藤寛)

(日本、韓国)

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