米南東部の自動車製造業協会がサザン・オートモーティブ・カンファレンスをアラバマ州で開催

(米国、日本)

アトランタ発

2025年10月17日

米国南東部4州(アラバマ州、ジョージア州、ミシシッピ州、テネシー州)の自動車製造業協会の共催による「サザン・オートモーティブ・カンファレンス(SAC)2025外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が1079日、アラバマ州ハンツビルで開催され、南東部を中心に120以上の自動車関連企業・団体が出展した。ジェトロはジャパンパビリオンを設置し、在米日系企業など12社が出展した。

写真 会場であいさつするケイ・アイビー アラバマ州知事(共和党)(ジェトロ撮影)

会場であいさつするケイ・アイビー アラバマ州知事(共和党)(ジェトロ撮影)

写真 ジャパンパビリオンの様子(ジェトロ撮影)

ジャパンパビリオンの様子(ジェトロ撮影)

初日は、完成車メーカー(OEM)や1次サプライヤー(Tier1)とのマッチメイキング・イベントが行われた。同イベントでは、希望するOEMTier1の調達担当者と5分間の個別商談が設定され、サプライヤー各社が自社の技術や特徴、強みを説明した。今回は、マツダ・トヨタ・マニュファクチャリング(MTM)やメルセデス・ベンツ、現代自動車などアラバマ州内に立地するOEMなど22社がバイヤーとして参加した。

写真 マッチメイキング・イベント会場の様子(ジェトロ撮影)

マッチメイキング・イベント会場の様子(ジェトロ撮影)

また、アラバマ・ロボティクス・テクノロジーパークの施設見学ツアーも実施された。同パーク内のトレーニングセンターでは、ロボットのメンテナンスや自動化・先端製造などに対応できる人材を育成している。同パークでは、3,000万ドルを投じて、電気自動車(EV)製造のための人材育成を目的とした、EVテクノロジーセンターを建設中で、2026年にオープン予定だ。ツアーでは、地元OEMと連携して設置された訓練エリアや自動化機械メーカーがスポンサーとなって実施される研修などを見学した。

写真 アラバマ・ロボティクス・テクノロジーパーク視察の様子(ジェトロ撮影)

アラバマ・ロボティクス・テクノロジーパーク視察の様子(ジェトロ撮影)

2日目の開会あいさつには、アラバマ州のケイ・アイビー知事(共和党)が登壇し、同州に立地するMTMやトヨタ自動車のエンジン製造工場に言及し、同州が米国南部における自動車製造イノベーションの先駆者であることを誇りに思うと述べた。

また、アラバマ州に立地するOEMによるパネルディスカッション(注1)が行われたほか、ホンダがスポンサーとなり、自動車関連スタートアップ4社(注2)によるピッチコンペティション(注3)が開催された。当初、「航空宇宙と自動車のシナジー」と題して、アラバマ州ハンツビルに立地する米国航空宇宙局(NASA)マーシャル宇宙飛行センターからの講演が予定されていたが、10月1日から続く米国連邦政府の閉鎖(2025年10月3日記事参照)の影響で、同センターからの参加ができなくなり、急きょ、ダイムラートラックによる大型トラックの自動化の取り組みの紹介に変更となった。

参加した日本企業からは、「オフロード車(注4)を製造するポラリス(本社:ミネソタ州メディナ)など、日系企業間のつながりではアプローチしにくい企業にコンタクトできたことは収穫」「ドイツ系や韓国系のOEMへのアプローチのきっかけを得られた」といったコメントがあった。また、製造ラインの自動化設備への関心は非常に高く、自動化関連設備を出品した企業は多くの引き合いを受けていた。

2026年のSACは、ジョージア州アトランタで10月6~8日の日程で開催される予定だ。

(注1)登壇したのは、マツダ・トヨタ・マニュファクチャリング、メルセデス・ベンツ、現代自動車、ホンダ・アラバマ・オートプラントの4社。

(注2)同コンペティションに参加したのは、バッテリーの安全装置などを開発するESSPI、家庭用EV充電器の設置などを行うグローリーEV、拡張現実(AR)を活用した現場作業員向けソリューションを開発するコグニティブ・スパーク、人工知能(AI)を活用した製造業向け自動化機器を開発するQポイントロボティックの4社。最優秀賞にはESSPIが選ばれた。

(注3)スタートアップ企業や起業家が、与えられた時間内で自社のビジネスアイデアやサービスを投資家や審査員にプレゼンテーションし、評価を受けるイベント。

(注4)舗装されていない場所を走行することに適した自動車。

(檀野浩規)

(米国、日本)

ビジネス短信 bb786dcd619dd0ee