コートジボワール大統領選、現職のワタラ氏が圧勝
(コートジボワール)
アビジャン発
2025年10月29日
コートジボワール大統領選挙が10月25日に実施され、現職のアラサン・ワタラ氏(83歳)が得票率89.77%で再選した。4期目の任期となる。
今回の大統領選では、全国の全選挙区でワタラ氏が首位を獲得した。特に北部カニ県では投票率99.08%で、得票率99.68%と、圧倒的な支持があった。一方、国全体の投票率は50.10%にとどまり、特に都市部ではガニョア県で20.68%、アビジャン市内のココディ地区で19.24%と低調だった。
ペンシルベニア大学で経済学博士号取得し、IMFや西アフリカ諸国中央銀行での経歴を持つワタラ氏は、1990年に首相に就任した。父親が隣国ブルキナファソ出身であることから、ワタラ氏の国籍を巡る論争が起こり、1995年と2000年の選挙では立候補を拒否され、2002年の政治危機の引き金となった。2010年の大統領選では勝利を収めたが、当時のローラン・バグボ大統領が結果を認めず、約3,000人が犠牲となる国家的緊急事態が発生した。
今回の選挙では、主要野党候補のバグボ元大統領(コートジボワール・アフリカ人民党、PPA-CI)とティジャヌ・ティアム氏(コートジボワール民主党、PDCI-RDA)が憲法評議会の判断で立候補を認められなかった(2025年9月25日記事参照)。他の対立候補の得票率は、ジャン=ルイ・ビヨン氏(CODE)3.09%、シモーヌ・エイべ氏(MGC)2.42%、アウア・ドン・メロ氏(無所属)1.97%、アンリエット・ラグ氏(GPP)1.15%にとどまった。ビヨン氏は26日時点でワタラ氏の再選を祝福する声明を出し、敗北を認めつつも、「一部地域での投票率の低さや不正の疑い」を指摘した(10月26日付「リンフォドローム」)。
現地複数報道によると、治安面では、選挙期間中に約2%の投票所(約200カ所)で混乱が発生したと報告された。さらに、選挙前から抗議活動に対する取り締まりが強化され、南東部アグボビルでは憲兵1人、中央西部ダロアでは市民1人が死亡した。10月11日以降、数百人が逮捕され、30人以上が「違法なデモへの参加」を理由に、実刑3年の判決を受けたとされる。
(安藤佳耶)
(コートジボワール)
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