好調な対内直接投資、海外からの人材誘致も開始

(フィンランド)

ロンドン発

2025年10月09日

フィンランドの政府系機関ビジネスフィンランド(BF)は9月24日、2024年の海外直接投資統計を公表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。フィンランドの対内直接投資残高額は2024年も引き続き増加し、前年から24億ユーロ増の835億ユーロとなった。大型投資をみると、米国半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)による北欧最大の民間人工知能(AI)研究所Silo AIの買収案件(6億1,400万ユーロ)が最大だった。そのほか、米国グーグルによるデータセンター用地の買収(2,700万ユーロ)や、スウェーデンの鉄鋼大手SSABとフランスの素材大手サンゴバンによる製鋼スラグ処理プラント(注)建設(1,400万ユーロ)が主な案件だった。

海外からの投資が好調な一方、対内直接投資残高額がフィンランドのGDPに占める割合は約30%に過ぎず、同74%にのぼるスウェーデンなどと比べると、さらなる投資が不可欠としている。

2025年も対フィンランド直接投資は堅調に推移し、1~8月の外国企業による新規投資および追加投資は前年同期比で計62件増加し、300件に上った。業種別では、主にビジネスサービス、ヘルスケア、小売り、デジタル、クリーンテクノロジー分野に海外からの投資が行われた。投資元の国・地域別にみると、スウェーデンが長年にわたり最大の投資国であり、2024年の同国からの対内直接投資残高額は207億ユーロで全体の4分の1を占め、2025年も多くの案件に投資している。続いて、英国、米国、デンマーク、ノルウェーからの投資が多い。

経済雇用省は9月24日、政府系機関ワーク・イン・フィンランドが国際的な人材誘致キャンペーンを開始すると発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。企業、研究機関や大学に対して、量子やフォトニクスなど先端技術の人材の発掘・採用に向けた支援を行うもので、欧州諸国に加え、インド、ブラジル、米国からの誘致を目指すとしている。

また、フィンランド政府は2025年4月、企業向けの施策として、2027年から法人税率(現行20%)の18%への引き下げを発表。さらに、2026年以降に発生した損失は、繰り越し控除を認める期間を25年に延長するとした(2025年5月2日記事参照)。

(注)製鋼で発生するスラグから、従来のセメントに比べカーボンフットプリントを90%削減する高付加価値の結合剤を製造する施設。

(野崎麻由美、半井麻美)

(フィンランド)

ビジネス短信 b8e88f6b11d11432