イラン・中国・ロシア、対イラン制裁復活を批判
(イラン、米国、英国、フランス、ドイツ、ロシア、中国)
テヘラン発
2025年10月23日
イランのアッバース・アラーグチー外相は10月18日、国連安全保障理事会決議2231号(注)が10月18日をもって正式に失効したことをあらためて表明した。同外相は、国連事務総長および安保理議長宛ての書簡において、同決議の期限終了は条文に完全にのっとったものであると強調した。また、フランス、ドイツ、英国の欧州3カ国(E3)の働きかけによる「スナップバック・メカニズム(制裁の解除・緩和の取り消し措置)」の発動について、「一方的かつ恣意(しい)的な行動」であり、正当性も手続き的根拠もないと非難した。さらに、「失効済みの国連決議を『復活』または『再適用』(2025年9月29日記事参照)しようとしたいかなる主張も、法的根拠を欠き、拘束力を持たない」と断じた〔10月18日付イスラーム共和国通信(IRNA)〕。
国連安保理は2015年7月、イランの核開発問題に関する包括的共同作業計画(JCPOA)を支持する決議2231号を採択した。同決議により、イランに対する兵器関連の制限や経済制裁が段階的に解除される枠組みが導入された。2023年10月18日には、採択から8年が経過し、兵器関連の供与・技術移転などに関する制限が失効。これにより、イランとの一部軍事・技術取引に関する国際的な規制が緩和された。有効期限の2025年10月18日をもって、決議に基づくすべての制限が解除され、イランに対する国連安保理レベルでの制裁措置は全面的に終了する予定だったが、日本時間9月28日、スナップバックの発動により同決議は再適用された。
イラン、中国、ロシアの3カ国は、国連事務総長宛ての共同書簡において、E3によるスナップバック発動の動きに対し、法的根拠を欠くと批判した。書簡では、欧米側がイランの核活動に関して「転用(diversion)」の疑いを繰り返し主張しているものの、国際原子力機関(IAEA)がこれまで実施してきた最も厳格な査察においても、こうした疑惑が確認されたことはないと指摘した。さらに、JCPOAへの義務を果たしていないE3には、制裁を復活させる法的権限はないと強調した(10月19日付IRNA)。
(注)2015年に国連安保理で採択されたイランの核問題に関する安保理決議(参考:2025年9月29日付経済産業省ニュースリリース)。
(マティン・バリネジャド)
(イラン、米国、英国、フランス、ドイツ、ロシア、中国)
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