議会がボルアルテ大統領を罷免、ヘリ国会議長が暫定の大統領に

(ペルー)

リマ発

2025年10月14日

ペルー議会は10月10日、「共和国大統領に係る倫理の欠如と罷免に関する決議」案(議会決議001-2025-2026-CR)を賛成多数で可決した。直ちに罷免の効力が発生し、ディナ・ボルアルテ大統領は失職した。また、ホセ・ヘリ議長が暫定的に大統領に就任した。ペルーでは2026年4月に大統領選挙が予定されており(2025年4月15日記事参照)、同年7月28日の独立記念日に新大統領が就任する。

憲法第113条で大統領が倫理的もしくは身体的に能力に欠けると議会が宣言した場合には罷免されることになっており、ボルアルテ氏の罷免に関する決議はこれを踏まえたものだ。また、同第115条で大統領職の継承順位が定められ、1位は第1副大統領、2位は第2副大統領であるがともに空席のため、3位の国会議長が後任の大統領となった。

罷免に関する決議は、4件の罷免動議を踏まえたもので、各動議で罷免の理由として、重大な汚職、出張時に私用を行う職務放棄、美容整形手術を優先した職務放棄、行政管理能力の欠如、国民生活に深刻な影響を与えている集団犯罪増加に対応するリーダーシップと政治的意思の欠如などを挙げている。

ボルアルテ氏は、大統領府で国民に向けたメッセージを出し「私は2022年12月7日に勇敢さと祖国への愛をもって大統領に就任した。私はこれまで自分のことではなく、3,400万人のペルー国民のことを考え続けて取り組んできた」と発表した。

同氏は日本との関係を重視する姿勢を取り、2024年11月にAPECサミットに合わせてペルーを訪問した石破茂首相と2国間ロードマップに署名した(2024年11月26日記事参照)。2025年8月には大阪・関西万博のペルー・ナショナルデーに合わせ閣僚6人とともに訪日して投資セミナーを開催し、日本企業関係者に対し投資を呼びかけた(2025年8月8日記事参照)。

ヘリ氏はリマ市出身の38歳で、歴代3番目に若い大統領となる。弁護士で地方自治体の勤務経験もある。2021年から議員に就任し、2025年7月26日から議長を務めていた。性的犯罪(現在、当局が調査中)や複数のヤミ献金疑惑の報道があるが、本人は関与を否定している。

(石田達也)

(ペルー)

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