ボルアルテ大統領来日で「日本・ペルー投資デー」セミナー開催、投資機会を紹介
(ペルー、日本)
調査部米州課
2025年08月08日
ペルー通商観光省(MINCETUR)とペルー貿易観光促進庁(Promperú)は8月7日、東京都内で「日本・ペルー投資デー」セミナーを開催した。本セミナーは8月9日に予定されている大阪・関西万博におけるペルーのナショナルデー行事に参加する目的のディナ・ボルアルテ大統領の訪日を機に開催された。セミナーにはボルアルテ大統領のほか、日本、ペルー両国の政財界の要人も参加した。
セミナーで講演したウルスラ・レオン通商観光相は、ペルーは中南米で最も安定した経済を有する国の1つであるとし、低いインフレ率やカントリーリスク指数、政府債務残高のGDP比も32.1%と低水準であることなど良好なマクロ経済指標を紹介した。また、工業団地や空港、港などのインフラ整備が進んでおり、それによりペルーは投資先としてさらに魅力的になるだろうと述べた。日本企業にとっての投資機会が大きいと考えられる分野としては、農業、観光業、製造業、知識集約型サービス業、再生可能エネルギー分野などを挙げた。製造業に関しては、中南米の他国と比較しても電気料金や水道料金が安価であることも魅力の1つとした。
ペルーに進出する日系企業によるパネルディスカッションも実施された。ペルー三菱商事の宇野豊社長は、2018年にケジャベコ銅鉱山に追加投資の判断をした際は、ペルーのマクロ経済の安定性や鉱山投資の環境が整っていることを評価したと述べた。加えて、手続きの簡素化や違法鉱業問題を解決することで、さらなるペルーの差別化につながるだろうとした。また、ペルー三井物産の山田次郎社長は、ペルーでは低炭素強度のバイオエタノールが生産されているため、2国間クレジット制度(JCM)の締結により、日本の関連投資をペルーに呼び込むことができるのではないかとの考えを示した。
閉会あいさつで登壇したボルアルテ大統領は、これまでペルーは投資家の信頼感を得られるようにインフラ整備を進めてきたとし、さらなる投資を呼び掛けた。また、両国間で締結されている協定を利用し、今後人材交流も進めていきたい意向を示した。
なお、7日午前には日本商工会議所の運営で第16回日本ペルー経済協議会も開催され、共同声明が採択された。同声明では、農業や鉱業における両国のビジネス円滑化のための提言などが明記された。
(佐藤輝美)
(ペルー、日本)
ビジネス短信 7856b543b8980766