横浜・川崎発イノベーションの可能性、ディープテック企業4社が欧州展開に向けた成果発表

(日本、ドイツ)

横浜発

2025年10月27日

ジェトロは、横浜・川崎を拠点とするディープテックスタートアップ4社(参加企業はジェトロページを参照)を対象に、欧州市場進出を支援する渡航プログラムを929日~103日に実施した。このプログラムでは、ドイツ・ミュンヘンで毎年開催される欧州最大級のスタートアップカンファレンス「Bits & Pretzels(ビッツ&プレッツェルズ)」の参加を中心に、各社がピッチ登壇や個別ミーティングを通じて、現地の潜在パートナーとの接点を得た。

同イベントは参加者数が7,500人に限定されており、参加者は事前にマッチングシステムに登録しているため、渡航前に各企業に対してジェトロが効果的な個別支援を実施することができ、各社はイベントで効率的かつ実りある対話を実現した。

加えて、ミュンヘン工科大学など有力支援機関を訪問し、技術紹介や交流を通じて、現地エコシステムを学ぶ実践的な機会を提供した。各社は欧州市場のニーズや反応を体感し、今後の展開に向けた手応えを得た。

これらの成果を広く共有する場として、1015日にTECH HUB YOKOHAMAで、成果報告イベントを開催した。そこでは渡航企業による現地活動に関する報告とパネルディスカッションが行われ、欧州進出に向けた課題と可能性を共有した。パネルディスカッションでは、「ドイツは州ごとに得意とする産業クラスターが異なるため、自社の事業がどの地域のセクターにフィットするかを見極めることが重要」とのコメントがあり、進出先の選定における視点が共有された。また、ジェトロを含むスタートアップを支援する機関に対して、「企業からヒアリングした内容をデータとして蓄積し、人工知能(AI)に読み込ませることで、マッチングやメンタリングの精度を高めるべき」との提案もあり、支援手法の高度化に向けた議論が展開された。

写真 ミッション訪問先での参加者4人とサポートメンバー(ジェトロ撮影)

ミッション訪問先での参加者4人とサポートメンバー(ジェトロ撮影)

続いて、ベンチャーキャピタル(VC)のライフタイムベンチャーズ代表の木村亮介氏と、UntroD Capital Japanの木下太郎氏による特別対談が行われ、日本発ディープテックスタートアップが世界で戦うために必要な要素や支援体制について議論された。日本市場は規模の面で国内完結しやすい傾向があるが、ディープテックは世界共通の課題に挑む技術のため、海外展開は自然な流れであり、むしろ必然との見解が示された。

今回のプログラムを通じて現地との距離が縮まり、スタートアップの挑戦が地域発イノベーションの可能性を示した。ジェトロでは今後も、グローバル展開を目指す企業に対して、実践的な支援を通じて海外展開を後押ししていく方針でいる。

写真 成果の報告会(ジェトロ撮影)

成果の報告会(ジェトロ撮影)

(大東千潤、廣瀬直彦)

(日本、ドイツ)

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