米アラバマ州商務省、東京事務所を開設、同州への投資誘致を強化へ

(米国、日本、韓国、ドイツ)

アトランタ発

2025年10月31日

米国アラバマ州商務省は10月28日、新たなビジネス開発事務所を東京に開設したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。一度は閉鎖された同州の東京事務所だが、日本とアラバマ州間の経済関係のさらなる強化を目指し、再び開設することとなった。

第47回日本・米国南東部会日米合同会議(注1)が東京で開催される中、アラバマ州のエレン・マクネアー商務長官が来日し、同州東京事務所開設を祝賀した。東京事務所は、同州内に立地する日本企業を支援するとともに、日本企業のアラバマ州への投資誘致やアラバマ州企業の日本への輸出促進などの業務を担う。

マクネアー長官は「東京事務所開設により、アラバマ州に投資する日本企業を支援するための能力を強化すると同時に、貿易と協力の新たな扉を開くことになる」と述べた。同州商務省によると、約80社の日本企業が同州内で事業展開しており、1999年以降、日本企業はアラバマ州に101億ドル以上を投資し、州全体で2万5,000人以上の雇用を創出している(注2)。

同州は10月23日、日本と韓国で事務所を開設するためにコンサルティング会社と契約したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしていた。韓国ソウルにも事務所を開設し、韓国企業のアラバマ州への投資誘致などを行う予定だ。同州商務省によると、同州への主要な投資国は日本、ドイツ、韓国の3カ国(注3)で、2019年にはドイツに事務所を設置した。

アラバマ州は2024年10月、新たな経済開発戦略「カタリスト」を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、企業誘致や人的資本の向上、起業支援に加え、8つの重点産業分野(注4)を特定し、2030年代に向けた経済開発を進めている。戦略策定を主導したマクネアー長官は2025年8月に「戦略計画を遂行する上で極めて重要と認識した点の1つは、世界中に現地スタッフを配置することだ」として、日本での事務所設立についても言及していた(アラバマニュースセンター8月5日)。

(注1)アラバマ、フロリダ、ジョージア、ミシシッピ、ノースカロライナ、サウスカロライナ、テネシーの南東部7州の州政府幹部と、7州を中心に米国内外で活動する企業関係者、駐米日本大使や総領事らが集まる経済会議。同会議は日米交互に毎年開催しており、2024年はノースカロライナ州開催だった(2024年11月18日記事参照)。

(注2)同州には、ダイキン工業や、トヨタ自動車とマツダの合弁会社マツダ・トヨタ・マニュファクチャリング(MTM)などが製造拠点を構えている。同州ハンツビルで開催された自動車関連イベントに登壇したケイ・アイビー州知事(共和党)もイベントでのあいさつで、MTMやトヨタ自動車のエンジン製造工場に言及した(2025年10月17日記事参照)。

(注3)アラバマ州モンゴメリーには、韓国の現代自動車の自動車組立工場が立地しており、周辺には自動車関連の韓国企業が多数立地している(2025年4月16日記事参照)。また、同州タスカルーサには、メルセデス・ベンツの自動車組立工場が立地している。

(注4)モビリティー(自動車・航空宇宙連携)、防衛産業、金属・先端材料、化学製造、林業・木材、農業・食品、バイオサイエンス、テクノロジーの8分野。さらに、これらの成長を促進する分野として、ビジネスサービスと物流・流通の重要性も指摘している。

(檀野浩規)

(米国、日本、韓国、ドイツ)

ビジネス短信 879549bd87ac9abc