日本車メーカー、南ア自動車市場で存在感示す

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2025年10月10日

南アフリカ共和国の南ア自動車製造業者協会(NAAMSA)は10月2日、2025年9月の新車販売台数が5万4,700台と過去10年で最高を記録し、新たなマイルストーンを達成したと発表した。これは前年同月の4万4,000台から24.3%増となり、2015年9月以来の最高月間販売台数となった。NAAMSAによれば、この背景として「インフレ緩和、堅固だが抑制的な金融政策、緩やかな経済成長、輸入車モデルの継続的な拡大」をあげている。

南アでは可処分所得が増加し、特に価格重視のエントリーレベル車種が新車販売台数の増加に貢献した。乗用車セグメントは、9月に前年同月比28.0%増を記録した。メーカー別総販売台数では、日本のトヨタ自動車(1万4,146台)とスズキ(6,072台)が首位と2位となった。商用車セグメントでも、トヨタ自動車(452台)といすゞ自動車(302台)が販売台数トップ5入りを果たした。

日本車メーカーは引き続き、南ア市場で確固たる地位を築いており、東ケープ州デェベハ(Guqueberha、旧ポートエリザベス)で開催された「南ア自動車ウィーク(SAAW)2025」(10月1~3日)(2025年10月9日記事参照)でも存在感を示していた。1960年代から南ア自動車産業に貢献してきたトヨタ・サウスアフリカ・モーターズ(TSAM)は主要な出展者として、「改良型ハイラックス・レジェンド55エディション」と「ハイブリッドカローラモデル」を展示し、多くの来場者の注目を浴びていた。スズキはコンパクト都市型モビリティを強調し、南アに適応した「新型スイフトハイブリッド」と「スズキ・ビターラ」を展示した。いすゞ自動車、三菱自動車、日産自動車も乗用車と軽商用車の派生モデルを展示した。

大型商用車セグメントでは、日野自動車、いすゞ自動車、UDトラックスがそれぞれ大型商用トラックを展示した。UDトラックス南アのマネージングディレクターは、「競争激化の中でも、物流分野のニーズ変化に対応した顧客中心の新技術導入により市場での存在感を維持できている」と述べ、南ア市場への自信を示した。

現地生産を行う7社(いすゞ自動車、トヨタ自動車、日産自動車、フォード、BMW、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン)のうち3社が日本企業であり、南アの自動車産業エコシステムにおいて強力な存在感を示し、多くの雇用創出と技術移転を実現している。

(トラスト・ムブトゥンガイ)

(南アフリカ共和国)

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