南アAuto Week開催、変革期への対応を議論
(南アフリカ共和国)
ヨハネスブルク発
2025年10月09日
「南アフリカ共和国自動車ウイーク(South Africa Auto Week)2025」の会議および展示会が10月1日から3日にかけて、東ケープ州グケベラで開催された。南ア自動車製造業者協会(NAAMSA)が主催する本イベントは2025年で4回目の開催となった。パークス・タウ貿易産業競争相が出席し、10月2日に基調講演を行った。
NAAMSAのビリー・トム会長(注1)は10月1日、開会あいさつで、自動車産業が南アGDPの5.2%を占め、自動車完成車メーカー(OEM)と部品企業で直接雇用者数11万5,000人を生み出し、総輸出額の14.7%に貢献し、155カ国に輸出していると述べた。同氏は、自動車産業が南ア経済において重要であり、自動車産業全体が約50万人の雇用に貢献していることを強調した。
一方で、地政学的変化、世界的な供給過剰、米国政府による25%の関税賦課の影響を受け、南アの自動車産業は大きな変革期にあると述べた。2025年上半期の新車販売台数は前年同期比で14%増加したが、これは主に低価格帯のモデルが流入したためで、輸入台数は同期間で70.2%増加し、国内自動車産業が輸入車によって脅かされる恐れがあると指摘した。トム会長は、自動車関係者と政府に対し、国内自動車産業を保護するための戦略策定を求めた。
基調講演を行ったタウ貿易産業競争相は、自動車産業の重要性を再確認しつつ、競争力を維持するには、世界的な変化に迅速に対応し、新エネルギー車(NEV)の導入を加速させることが不可欠だと述べた。自動車の輸出先の大部分を占める英国とEUは、2035年までに内燃機関車の新車販売を段階的に終了するとしており、「こうした流れに適応しなければ、これらの主要輸出市場を失うリスクがある」とした。この点に関し、南ア政府は、電気自動車(EV)および水素自動車生産への投資に対し、2026年から150%の税額控除を認める予定だ。
また、タウ貿易産業競争相は、産業界や世界銀行などと連携し、NEVの国内サプライチェーンの確保、製造工場の投資誘致、バッテリー組み立て・リサイクル・研究拠点の整備支援を目的とした国家重要鉱物戦略を策定したと述べた。
南アの自動車輸入の急増について、同大臣は、政府がセミノックダウン(SKD)方式を採用する企業を含む輸入企業と連携し、完全ノックダウン(CKD)方式への移行を推進中であると述べた(注2)。
タウ大臣による基調講演(ジェトロ撮影)
(注1)ビリー・トム会長は、いすゞ自動車南アフリカの社長も務める。
(注2)完全ノックダウン方式では、自動車を構成する全ての部品を輸入し、現地で組み立てや溶接、塗装、艤装(ぎそう)、仕上げなどを行い、完成車にする。セミノックダウン方式は、ボルトやねじなどだけで完成車になるレベルでの部品輸入にとどまり、現地では比較的簡素な組み立てのみ行う。
(トラスト・ムブトゥンガイ)
(南アフリカ共和国)
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