横浜発スタートアップ5社、TICAD9でビジネスピッチ、環境・医療・モビリティーの課題に挑戦
(日本、アフリカ)
横浜発
2025年10月21日
ジェトロは8月20~22日、横浜市内で第9回アフリカ開発会議(TICAD9)のテーマ別イベント「TICAD Business Expo & Conference(TBEC)」を開催した(2025年8月20日記事参照)。会場内で実施するステージイベントの一環として、ジェトロは3日目の22日、横浜青年会議所と共催で、スタートアップによるビジネスピッチイベント「未来の共創:横浜とアフリカのスタートアップが紡ぐ解決策を探る」を開催し、延べ150人以上が参加した。
セミナーの様子(ジェトロ撮影)
第1部の基調講演にはWASSHAの秋田智司代表取締役を招き、同社がアフリカ5カ国で6,500以上のキオスクを通じて展開する太陽光式LEDランタンのレンタル事業「Energy As a Services」を紹介した。同社がスタートアップとしてアフリカに展開する中で直面した課題や気づき、モチベーション維持の工夫など、アフリカ進出を目指すスタートアップに示唆を提供する機会となった。
講演する秋田代表取締役(ジェトロ撮影)
第2部と第3部では、環境技術、ヘルスケア、モビリティーの3分野のスタートアップ5社〔(1)つばめBHB(小規模分散型アンモニア製造プラント)、(2)まち未来製作所
(都市間エネルギー流通モデル)、(3)CROSS SYNC
(重症患者の遠隔モニタリング)、(4)HealthCareGate
(服薬管理アプリ)、(5)ロボデックス
(水素燃料電池ドローン)〕が各社の商品・サービスについてピッチした。
アフリカと日本からの事業家・投資家6人がコメンテーターとして、各社のビジネスモデルや現地の課題について質問や助言を行った。ナイジェリアの有力ベンチャーキャピタル(VC)のオラミデ・ディエコラ・アイナ氏は、日本は健康保険によって病院が収入を得られるが、アフリカでは健康保険加入者は全体の約5%にとどまっており、各国の法律に沿ったビジネスモデルを展開する重要性を指摘した。南アフリカ共和国を拠点とする大手金融グループABSA Groupのルシアン・グレンジャー氏は、アフリカに拠点を設立する際には現地法令への対応や制度紹介で現地金融機関のネットワークが活用可能だと強調した。
イベント終了後、登壇したスタートアップからは、「早速、コメンテーターにより詳細な現地規制を確認・相談する」といった声があったほか、互いに意見を交わす場面が見られた。「革新的な課題解決策の共創」というTICAD9のテーマに沿った地元スタートアップの未来を見据えた取り組みとして、横浜市のタウンニュースでも紹介された。
全体の集合写真(ジェトロ撮影)
(大東千潤)
(日本、アフリカ)
ビジネス短信 7ad2b07809c9c73a