シンガポールとモンゴル、炭素クレジット実施協定に署名
(シンガポール、モンゴル)
シンガポール発
2025年10月10日
シンガポール政府は10月6日、モンゴルと、カーボンクレジット(炭素クレジット)協力に関する実施協定に署名した(シンガポール貿易産業省プレスリリース)。同実施協定は、パリ協定第6条に沿った炭素緩和プロジェクトから創出された炭素クレジット移転に関する法的拘束力のある枠組みを確立する。実施協定に基づく炭素クレジットプロジェクトの認可や、炭素クレジットの方法に関する情報は追って発表される。
この実施協定に基づく調整された炭素クレジットは、シンガポールの「国際炭素クレジット(ICC)フレームワーク」に基づいて、企業の課税対象排出量の一部(最大5%)と相殺できる。また、「国別決定貢献(NDC)」や「国際民間航空のためのカーボンオフセットおよび削減スキーム(CORSIA)」などの国際的な緩和目的への順守に使用できる。シンガポールは実施協定に基づき、認証された炭素クレジットの収益の5%に相当する額をモンゴルの気候適応策に充てる。また、シンガポールは世界規模で排出量の純減少に貢献するため、認証された炭素クレジットの2%を発行時に無効化する。
シンガポールとモンゴルは2023年6月、炭素クレジットに関する覚書(MOU)に署名した(2023年12月18日記事参照)。同年12月には実施協定締結に向けた作業を進めるための手順について合意を発表していた。
シンガポールにとって、モンゴルとの実施協定は、パプアニューギニア、ガーナ、ブータン、チリ、ペルー、ルワンダ、パラグアイ、タイ、ベトナムに続く10例目となった。シンガポールはこれらのほかに、カンボジアやラオス、マレーシア、フィリピンなどとそれぞれMOUに署名し、法的拘束力のある協定署名に向けた取り組みを進めている(2025年9月22日記事参照)。
(朝倉啓介)
(シンガポール、モンゴル)
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