タイ商務省、デュアルユース品目の輸出管理を2026年に開始する見通し
(タイ)
バンコク発
2025年10月03日
タイ商務省・外国貿易局(DFT)は9月24日、デュアルユース品目(DUI)に関するセミナーを開催した。DUIは、輸出(再輸出を含む)に際し、輸出許可(ライセンス)を求める管理制度を2026年初頭に導入する方針を示している。今後、告示案として正式に公表する。
同輸出管理は、タイ政府内で既に合意されており(2024年6月12日記事参照)、今回のセミナーで詳細が明かされた。DFTによると、輸出許可制度は、EUのDUIリストを基に、まず核兵器や原子力に関する「カテゴリー0」に該当する204品目〔関税分類(HSコード)8桁ベース〕が対象となる。DFTは、同カテゴリーの管理による国内事業者への影響は少ないとしている。その後、2026年中に管理対象範囲をカテゴリー7~9に拡大した後、残りのカテゴリー1~6を対象に追加する(注)。
対象製品を扱う輸出者は、出荷ごとに個別許可を取得する必要がある。許可の有効期間は(許可取得後)90日間で、個別の受取人につき、最大5品目が出荷可能だ。なお、ICP(内部コンプラインスプログラム)を導入している企業には、複数の輸出を許可する「包括許可」を認める(2022年5月17日付地域・分析レポート参照)。
輸出製品がDUIに該当するかの確認にあたっては、DFTのe-TCWMDプラットフォームにおいて、HSコード(6桁ベース)やDUI番号、CAS番号を入力すれば、該当有無が判別できる。HSコード上、該当しない場合は、輸出許可は不要となる。HSコードに該当していても、製品仕様(スペック)が規制対象外であれば、「EXEMP」コードで申告することで輸出許可は求められない。
輸出許可の申請手続きについては、DFTのSMART-Iシステムで事業者登録後、ライセンスを申請する。
申請書類には、輸出するDUIの詳細(品目名やDUI番号、HSコードなど)、輸出者・受取人・最終需要者(エンドユーザー)、技術仕様書、エンドユーザーによる宣誓書が含まれる。審査期間は45日以内で、輸出後30日以内に(再)輸出報告を提出する必要がある。ライセンス取得後、輸出前にインボイス情報をDFTに通知すれば、タイ税関の通関システムと連携される。
DFTは今後、2025年10月に輸出許可制度の告示案を公聴会で審議した後、官報に公布する見通し。12月にはライセンス申請(e-DUI)を稼働させ、2026年第1四半期に運用を開始する予定だ。
(注)EUのDUIリストのカテゴリーは次のとおり。
- カテゴリー0:核物質・原子力施設・装置
- カテゴリー1:特殊素材・関連装置(例:特定のフッ化化合物、圧電ポリマーなど)
- カテゴリー2:材料加工(例:特定の軸受、るつぼ、弁、工作機械など)
- カテゴリー3:電子機器
- カテゴリー4:コンピュータ
- カテゴリー5:電気通信・情報セキュリティー
- カテゴリー6:センサー・レーザー
- カテゴリー7:ナビゲーション・航空電子
- カテゴリー8:海洋(例:特定の船舶、海難救助システムなど)
- カテゴリー9:航空宇宙・推進装置
(藪恭兵、シリンポーン・パックピンペット)
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