第31回日ASEAN経済大臣会合がクアラルンプールで開催

(ASEAN、日本、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、東ティモール)

ジャカルタ発

2025年10月09日

第31回日ASEAN経済大臣会合(AEM-METI)が9月24日、マレーシアのクアラルンプールで開催された。共同議長は、マレーシアのザフルル・アジズ投資・貿易・産業相と武藤容治経済産業相が務めた。

会合では、2025年5月20日にバーチャル形式で開催された特別AEM-METI大臣会合の成功を歓迎し、サプライチェーンの強靭(きょうじん)性強化、デジタル変革、エネルギー移行、イノベーションなどの重要性をあらためて確認した。また、自動車分野、クリーンエネルギー、人工知能(AI)の倫理的かつ責任ある開発、導入など、産業別の協力イニシアチブを推進することで、投資環境整備に向けたASEANとしてのコミットメントを再確認した。

ASEAN・日本包括的経済連携(AJCEP)協定については、AJCEPの品目別規則(PSR)の統一システム(HS)2022への移行が完了したことを歓迎し、これにより原産地規則の明確性、有用性、一貫性が向上するとした。AJCEPや地域的な包括的経済連携(RCEP)協定を含む、既存協定の規則・基準の更新の可能性についても留意するとした。

東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)の支援により策定が進められている「次世代自動車産業マスタープラン」や「日ASEAN AI共創ロードマップ(以下、AIロードマップ)」の継続的な取り組みへの期待も示された。AIロードマップにより、AI人材の育成、AIビジネスケース、知識共有を通じた支援が行われるとした。知的財産分野においては、ERIAによる研究や、企業ニーズに合わせた研修プログラムの活用、特に半導体分野におけるサプライチェーンの強靭化を目指したさらなる知財協力を歓迎した。

民間セクターからの報告では、ASEAN日本人商工会議所連合会(FJCCIA)の鳴釜宏充議長代行〔マレーシア日本人商工会議所(JACTIM)会頭〕と、阿部一郎議長顧問(ジェトロ・バンコク事務所長)が、第17回「FJCCIAとASEAN事務総長との対話(2025年8月14日短信参照)」の結果と提言の要点について説明した。

日本商工会議所の五十嵐克也理事は、ASEAN・日本経済協議会日本委員会(AJBC)として、AJCEPにおける電子原産地証明書(e-CO)の早期導入やRCEPにおけるe-COの導入に係る議論開始を提言したほか、ジェトロの片岡進副理事長は、脱炭素に資する日本企業の技術を紹介したカタログや、オープンイノベーション・プラットフォームの「J-Bridge」など、ジェトロの具体的な取り組みを紹介した。

カオ・キムホンASEAN事務総長は、FJCCIA、AJBC、ジェトロの活動に謝意を示したうえで、「AJCEPのようなASEANプラスワンFTA(自由貿易協定)は、域内ASEAN貿易を強化するためのASEANの取り組みの中核」と述べた。また、「現在開発中の次世代のASEANシングルウィンドウにおいて、電子商取引との接続に関する進展をもたらす」「ASEANにおける電子商取引における知的財産権の強化やe-ガバメントとガバナンスの推進に関する提言は、ASEANのシームレスなデジタル生産性を強化するために重要」とした。

写真 会合の様子(ジェトロ撮影)

会合の様子(ジェトロ撮影)

(大滝泰史)

(ASEAN、日本、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、東ティモール)

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