米モンタナ州が東京でビジネスセミナーを開催、フォトニクスや量子技術などでの連携に期待
(米国、日本)
調査部調査企画課
2025年10月27日
ジェトロは10月22日、米国モンタナ州のビジネス・投資環境を紹介するセミナーを東京で開催した。同州のグレッグ・ジアンフォーテ知事(共和党)やジェトロの石黒憲彦理事長らが登壇した。米国でのビジネス展開に関心を持つ日本企業関係者約50人が参加した。
開会あいさつで、石黒理事長はモンタナ州について、近年、フォトニクスや量子技術といった先端分野で注目を集め、産学官の連携によるイノベーション創出が盛んに行われていると紹介した。また、低い事業コスト、安定した電力供給、豊富な天然資源、高い教育水準を背景に、スタートアップから大手企業まで幅広いビジネスにとっての魅力的な投資先だとしつつ、「米国展開においては、州政府や地域機関との連携が成功の鍵」と強調した(注)。
ジアンフォーテ知事は主賓あいさつで、熊本県との姉妹都市関係、牛肉や石炭の輸出、学生・研究者の交流を通じて、日本との関係が深まっているとしたうえで、フォトニクス、量子、バイオテクノロジー、クリーンエネルギーの領域でもパートナーシップを強化していきたいとの期待を述べた。加えて、同州を「学界や産業界において、技術革新を推進するキープレーヤー」と位置づけ、日本とのさらなる協業受け入れに対する意欲を語った。
講演するモンタナ州のジアンフォーテ知事(ジェトロ撮影)
同州政府のフレデリック・ファン・デン・アビール・ビジネス誘致マネージャーは、同州の強みは「安価で質の高いビジネス環境、豊富なSTEM(科学、技術、工学、数学)人材、ビジネスフレンドリーな規制、簡素な行政手続きにある」と説明した。また、イノベーション創出の環境としても優れているとアピールし、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づく助成対象のテックハブに選定されたエコシステム(2024年7月3日記事参照)を活用すべく、スタートアップのビジネス機会やシリコンバレーのテック企業の進出が増えていると紹介した。
そのほか、同州で成長するフォトニクスと量子分野からの講演もあった。エコシステム育成に取り組む非営利団体モンタナ・フォトニクス&クアンタムアライアンス(MPQA)のジェイソン・イェーガー事務局長は、同州の魅力として、光学機器・フォトニクス関連企業の集積、モンタナ州立大学での人材・研究開発、ギャラティン郡のイノベーション開発能力を挙げた。また、同大学に設立されたクアンタム・コア(QCORE)のジェイン・モロー最高経営責任者(CEO)は、世界的にも希少な量子コンピュータのインフラを大学内に設置して量子技術を実用的なビジネスに転換する産学連携の取り組みを報告したほか、イノベーションキャンパスの様子を紹介した。
最後に、同州に拠点を持つ日系企業も登壇した。同州でパスタを製造するパスタ・モンタナのCEOを務めた、ニップン上席執行役員海外事業本部長の飛鷹裕之氏は「グレートフォールズ、シェルビー、ハバーを結ぶゴールデントライアングルと呼ばれる地域は、最高品質のデュラム小麦の生産地の1つ。この地域に立地し、農家と直接交渉を行うことで、毎年の小麦の品質や収穫の状況などに関する声が直接、リアルタイムで入ってくる」と同拠点のメリットを語った。
(注)ジェトロは、米国への進出や拠点拡大時に、州政府などと連携した工場設立や研究開発拠点の設立の米国立地選定支援サービスを提供しているほか、モンタナ州を含む各州政府から日本企業へのブリーフィング動画を公開している。
(坂戸俊輔)
(米国、日本)
ビジネス短信 5d8a1014376bc227




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