フランスで第2次ルコルニュ内閣が発足

(フランス)

パリ発

2025年10月14日

エマニュエル・マクロン大統領は10月10日、6日に辞任したセバスチャン・ルコルニュ氏を再度、首相に任命外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(大統領府プレスリリース、フランス語)(2025年10月7日記事参照)。これを受けて、ルコルニュ首相は12日、新内閣人事案を大統領に提案し、承認された。

第2次ルコルニュ内閣は、総勢34人(大臣19人、担当大臣15人)で構成外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(大統領府プレスリリース、フランス語)され、うち、女性閣僚は17人を占める。短命に終わった第1次ルコルニュ内閣がフランソワ・バイルー前内閣から再任者を多数登用し批判を受けたことを踏まえ、新内閣ではバイルー内閣時からの再任者を12人にとどめる一方、環境、労働、教育、研究などの分野で民間から8人を登用し、内閣の刷新を図った。

出身政党別にみると、マクロン大統領の支持政党「ルネッサンス」から11人、バイルー前首相の「民主運動(MoDem)」から4人、エドアール・フィリップ元首相が率いる「オリゾン」から3人と、中道政党出身が半数を占める。

右派「共和党(LR)」からは、アニー・ジュヌバール農業・農産食品・食料主権相(留任)など6人が入閣したが、LRは同10日、党として政府に参加しない決議を採択しており、入閣者は除籍される見通し。同党の党首で第1次ルコルニュ内閣まで内相を務めたブリュノ・ルタイヨ氏は10月13日、「右派は末期的状況にあるマクロン政権に加わるべきではない」とし、この政府は左派「社会党(PS)」との不信任回避の合意に依存していると批判。PSが求める年金改革の停止や治安・移民政策の緩和に反対する声明文を発表した。

ルコルニュ内閣にとり、2026年の予算法成立が緊急政策課題となる。首相は10日、自身のX(旧Twitter)で、2025年12月末までに2026年の予算を成立させることが大統領から託された使命であるとし、財政健全化の必要性を訴えつつ、議会での審議を通じて予算成立に全力を尽くす意向を示した。10月13日付の現地メディア報道によれば、10月14日に政府予算法案が閣議決定され、ルコルニュ首相は施政方針演説を行う見通しだ。

野党勢力は、ルコルニュ氏の再任に反発を強めている。下院第1党の極右「国民連合(RN)」は13日、解散総選挙が政治の行き詰まりから脱する効果的かつ民主的な手段だとして、急進右派「共和国のための右派連合(UDR)」とともに内閣不信任決議案を提出したと発表した。極左「不服従のフランス(LFI)」の下院議員グループも同日、内閣不信任決議案を提出した。

政権存続の鍵を握るPSのオリビエ・フォール書記長は、10月12日付「ラ・トリビューン」紙(ウェブ版)のインタビューに応じ、ルコルニュ首相が施政方針演説において、同党の要求である民主主義と国民の意思を尊重する姿勢を示さなければ、独自の不信任決議案を提出すると警告した。同党は9日、マクロン大統領に対し、年金改革の停止、富裕層向け課税の強化や左派出身の首相任命などを求める声明文を発表していた。

(山崎あき)

(フランス)

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