人口が過去最高更新、外国人労働者増が牽引
(シンガポール)
シンガポール発
2025年10月06日
シンガポール首相府国家人口・人材局(NPTD)が9月29日に発表した最新の人口統計によると、6月時点の総人口(注1)は前年比1.2%増の611万1,175人と、前年に続いて過去最高を更新した(2024年10月1日記事参照)。
国民は366万683人で、前年比0.7%増にとどまったが、永住権者を除く外国人は190万6,660人と、前年比2.7%増加した。総人口に占める外国人の割合は2000年には18.7%だったのが、2010年に25.7%、2020年に28.9%、2025年には31.2%と拡大を続けている。なお、外国人永住権者(PR)は2025年に54万3832人で、総人口の8.9%を占めた。
2020~2025年の5年間の年平均人口増加率は1.5%で、その前の5年間(2015~2020年)の0.5%を上回った。これは、チャンギ空港第5ターミナルの着工や公共住宅(HDBフラット)の建設拡大などにより、建設分野の低熟練労働者向け就労パス(ワーク・パーミット、WP)の保持者が増加したことが主因だ。人材省によると、建設・造船・プロセス(CMP、注2)部門のWP保持者は2020年12月時点の31万1,100人から、2025年6月時点では46万300人に増えた。
少子高齢化が進行、外国人移民で下支え
2024年の国民の出生数は2万9,237人と、前年(2万8,877人)を若干上回った。しかし、国民(PRを含む)出生率(合計特殊出生率)は0.97で、過去最低を記録した2023年と同じだった。また、国民に占める65歳以上の高齢者の割合は2015年の13.1%から、2025年に20.7%に拡大し、少子高齢化が一段と進行した。NPTDの予測では、高齢者の割合は2030年に23.9%に達する見通しだ。
2020~2024年のシンガポール国籍の新規取得者は年平均2万1,300人と、2015~2019年の2万500人をやや上回った。NPTDは発表で「移民が高齢化と出生数低下の影響を軽減し、長期的な人口縮小を防ぐ」と指摘している。ただし、国籍と永住権の付与に当たっては「シンガポールに貢献し、社会に溶け込み、定住にコミットできるか」を慎重に審査していると説明した。
(注1)国民と外国人の合計。外国人は留学生と就労許可を取得して働く在住者、外国人永住権者とその帯同家族。短期滞在者や観光客は含まない。
(注2)CMP部門は、建設、造船のほか、石油、石油化学、特殊化学、医薬品の製造工場が含まれる。
(本田智津絵)
(シンガポール)
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