シンガポールの人口が過去最多、600万人の大台に
(シンガポール)
シンガポール発
2024年10月01日
シンガポール首相府戦略グループの発表(9月24日)によると、同国の2024年6月時点の総人口(注1)は前年比2.0%増の603万6,860人と過去最多となり、初めて600万人の大台に達した(添付資料図参照)。主に低熟練外国人労働者の増加により、人口が増加した。
総人口のうち、外国人〔永住権者(PR)を除く〕は185万5,992人と、前年比5.0%増加した。特に建設・造船・プロセス(CMP、注2)部門で働く外国人労働者が増加した。首相府戦略グループはこの理由について、「新型コロナウイルス流行によるプロジェクトの遅れを取り戻すため、企業が採用を増やしたため」と説明した。
国民は363万5,937人と、0.7%の増加にとどまった。国民の出生数は2万8,877人で、5.1%減だった。国民(PRを含む)出生率(合計特殊出生率)は2023年に0.97と、1を下回り、過去最低となった。また、国民に占める65歳以上の割合は2014年の12.4%から2024年には19.9%に増え、少子高齢化が一段と進行した。
シンガポール国籍の新規取得者は2023年に2万3,472人、PRの新規取得者は3万4,491人だった。国籍とPRの新規取得者数の2019~2023年の年間平均は、国籍取得者が2万2,400人、PR取得者が3万2,600人だった。2014~2018年(同2万1,600人、3万1,100人)と比べ、やや増加した。首相府戦略グループは「移民のペースは引き続き緩やかで、安定している」と述べた。
2030年までの人口、650万~690万人を下回る見通し
一方、同国の2030年の総人口は、2013年1月に発表した「人口白書(2013年2月13日記事参照)」で示した予測値「650万~690万人」には達しない見通しだ。地場の英字紙「ストレーツ・タイムズ」(2024年9月25日付)によると、同国の政策研究所(IPS)のクリストファー・ギー副所長は「現行の人口の伸びが継続すると仮定すると、2030年6月時点の人口が637万人となる」とし、人口白書の予測を下回るとの見込みを示した。
(注1)国民と外国人の合計。外国人は留学生と就労許可を取得して働く在住者とその帯同家族で、短期滞在者や観光客は含まない。
(注2)CMP部門は、建設、造船のほか、石油、石油化学、特殊化学、医薬品の製造工場が含まれる。
(本田智津絵)
(シンガポール)
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