上海市、スマートデバイス産業発展に向けた行動計画を発表

(中国)

上海発

2025年10月24日

中国の上海市政府は10月14日、「上海市スマートデバイス産業の高品質な発展に関する行動計画(2026-2027年)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。この行動計画は、国家「人工知能+(AIプラス)」行動(2025年9月3日記事参照)の徹底的な実施、AI技術の革新がもたらすスマートデバイスの発展機会を捉え、IT産業の高度な発展を促進するために発行したもの。

同計画では、2027年にスマートデバイスの産業規模を3,000億元(約6兆3,000億円、1元=約21円)以上に引き上げると同時に、世界的な影響力を持つ消費者向けデバイスブランドを3社以上創出し、2社のリーディング企業を育成するとしている。また、AIコンピュータ、AIスマートフォン、AI新デバイスの3つの分野において、それぞれ年間生産能力1,000万台規模の生産拠点の整備をする目標を掲げた。

行動計画は、製品開発、技術基盤の強化、産業エコシステムの最適化の3つの分野で構成される。製品開発分野の具体的な行動計画として、従来のコンピュータの生産能力からAIコンピュータへの全面的な転換を支援し、AIスマートフォンの端末上で動作する大規模AIモデルや画像・音声・テキストなど異なるデータの同時操作を可能とするインタラクティブな技術の革新を図る。また、ヒト型ロボットの研究開発・量産製造を支援し、市場への浸透を加速させるほか、スマート補聴器、バイオニック義肢など高齢者介護・障がい者ケア分野における製品開発と応用を促進するとした。技術基盤の強化では、スマートデバイスの産業化を推進するために、AIチップの端末側への展開や端末側AIモデル性能の向上、関連企業の連携強化などAIインフラ技術の強化を図る。産業エコシステムの最適化では、持続的な発展を図るため、補助金によるブランドの強化や、重点地域における産業クラスターの形成などが打ち出された。

国の「AIプラス」行動プランで定められた2027年までの目標に基づき、地方政府が実施行動計画を続々と発表している。浙江省杭州市が「杭州市AIデバイス産業発展の加速化に関する3カ年行動計画(2025~2027年)」のパブリックコメント募集稿を外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます9月9日に発表した。同市は、2027年までに同市のAIデバイス産業を上海市と同じく3,000億元規模まで引き上げる目標を挙げている。中国工信部傘下のシンクタンクである中国信息通信研究院は、中国AI産業の市場規模は2024年に9,000億元を超え、前年比24%の成長と試算した(「人民網」9月24日)。地方政府での取り組みも加わり、中国のAI産業がさらに加速していくことが見込まれる。

(王艶)

(中国)

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