トランプ米大統領政策の経済的効果への評価いまだ定まらず、世論調査
(米国)
調査部米州課
2025年10月08日
米国では、トランプ関税の消費財への価格転嫁が抑制されていることで、消費の落ち込みが回避されているとみられる(2025年9月29日記事参照)。最近の世論調査では、ドナルド・トランプ大統領の政策の経済的効果への評価が分かれる一方、トランプ氏自身への前向きな評価は低下していることがわかった。
ハーバード大学米国政治研究センターとハリス・インサイト・アンド・アナリティクスは10月6日、トランプ政権などに関する世論調査結果(注1)を発表した。それによれば、トランプ氏の政策で経済が「強くなる」あるいは「弱くなる」と思うかという設問に対しては、ともに50%と意見が分かれた。支持政党別では、共和党支持者の85%が「強くなる」としている。民主党支持者は82%が「弱くなる」、無党派層では、「弱くなる」が56%と「強くなる」(44%)を上回った。
トランプ氏の政策で米国への投資が「増える」あるいは「減る」かという問いでは、いずれも同率の50%となった。
また、トランプ氏がインフレとの戦いで「負ける」は56%と「勝つ」(44%)を上回った。トランプ氏の関税政策は経済を「損なう」が58%と、8月の調査時(55%)から3ポイント増加した。
2025年の経済の見通しは、一定の成長(1~3%)を見込む割合は50%となり、「縮小する」は36%だった。
トランプ氏への前向きな評価は低下
CBSニュースが10月に実施した世論調査(注2)では、トランプ氏への前向きな評価が2月の調査時と比較して低下した。詳細は次のとおり。
- タフである:69%(2月調査時)→60%(今回)
- エネルギッシュである:63%→51%
- 集中力がある:60%→49%
- 有能である:55%→46%
また、トランプ政権の政策が個人の経済状況を悪化させていると51%が回答し、トランプ政権の物価対策を不十分とする割合は75%と大多数を占めた。
(注1)実施時期は2025年10月1~2日。対象者は全米の登録有権者2,413人。
(注2)実施時期は2025年10月1~3日。対象者は全米の成人2,441人。
(松岡智恵子)
(米国)
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