9月の消費者物価指数、上昇圧力続くも伸びは市場予想下回る
(米国)
ニューヨーク発
2025年10月28日
米国労働省が10月24日に発表した2025年9月の消費者物価指数(CPI)
は前年同月比で3.0%上昇(前月2.9%上昇)、前月比では0.3%上昇(前月0.4%上昇)となった。変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は前年同月比3.0%上昇(前月3.1%上昇)、前月比0.2%上昇(前月0.3%上昇)だった(添付資料表、図1参照)。いずれも市場予想をわずかながら下回る伸びとなっている。
品目別に前年同月比での伸びをみると、電気・ガスなどのエネルギーサービスの高止まりが影響した結果、エネルギーは2.8%上昇と2024年5月以来の大きな伸びとなった。また、別の統計によると、牛肉(14.7%上昇)、コーヒー(18.9%上昇)などの価格が大幅に上昇した。これにより、食料品は3.1%上昇と前月(3.2%上昇)に続き高めの伸びとなっている。これらを除いたコア指数では、財部門は1.5%上昇(前月1.5%上昇)となった。サービス部門は、住居費(3.6%上昇)の伸びは前月と変わらなかったが、輸送サービス(2.5%上昇)の伸びが前月(3.5%上昇)から鈍化した。全体としては3.5%上昇と前月からわずかに伸びが鈍化した(添付資料表、図2参照)。
一方、瞬間風速を示す前月比でみると、財部門は0.2%上昇(前月0.3%上昇)、サービス部門は0.2%上昇(前月0.3%上昇)といずれもわずかに伸びが鈍化した。財部門では、家電(0.8%上昇)、家具(0.9%上昇)、衣類(0.7%上昇)など輸入依存度の高いアイテムでは前月から伸びが加速しており、消費者がややディフェンシブな姿勢(注1)を見せる中にあっても少しずつ消費者への転嫁が行われている様子がうかがえる。同時に、中古車(0.4%下落)、新車(0.2%上昇)は前月よりも伸びが鈍化しているなど、価格転嫁の状況はアイテムによってかなりのバラつきがあることが示唆される。置かれている競争環境、在庫状況、主たる顧客の反応、新製品投入のタイミングなどさまざまな要因によって左右されているもようだ。また、9月はガソリン価格(4.1%上昇)などもCPIの伸びの加速に寄与した。
9月の結果は、関税引き上げに伴う価格上昇圧力が続いていることが確認できる内容となっている。他方で、市場では、今回CPIが市場予想を下回る伸びにとどまったことは、労働市場の減速傾向の継続(2025年10月16日記事参照)とも相まって、10月28~29日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)における25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを支持する環境が整ったと受け止められているもようだ(注2)。
(注1)例えば、同日発表されたミシガン大学の消費者信頼感指数
は、2022年7月以来の低水準となっている。
(注2)例えば、シカゴマーカンタイル取引所の政策金利予測ツール(FedWatch
)では、次回FOMCで利下げを予想する者が約97%を占めている。
(加藤翔一)
(米国)
ビジネス短信 436fd316719c18cb




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