国際開発金融機関のバングラデシュ経済成長予測、2025/2026年度は加速の見通し

(バングラデシュ)

ダッカ発

2025年10月14日

世界銀行は10月7日に発表した「バングラデシュ開発報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の中で、同国のGDP成長率について、2024/2025年度(2024年7月~2025年6月)は前年度比4.0%となったが、2025/2026年度は4.8%に加速し、2026/2027年度には6.3%に達すると予測した。

世界銀行は2024/2025年度の実績に関し、市場為替レートの導入、外貨準備高の安定、経常収支赤字の縮小、輸出の力強い伸びにより外圧が緩和された一方、税収の低迷と補助金や利払いの増加が財政赤字を拡大させたと論じた。また、バングラデシュは中期的に経済成長率の上昇傾向を維持するだろうが、持続的な成長と特に若者と女性の雇用を創出するために緊急の改革が不可欠と指摘している。

なお、税収の確保は、バングラデシュへ多額の融資を行うIMFが最重要と位置づけるほど主要な課題だ。IMFは2024/2025年度の税収目標を4兆4,353億タカ(約5兆7,659億円、1タカ=約1.3円)に設定したが、バングラデシュの税収は3兆7,800億タカにとどまった。OECDが2025年7月に公表した報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2023年のバングラデシュのGDPに対する税収の割合は7.3%とアジア太平洋諸国の中で最低であり、税制の改革が急務となっている。

アジア開発銀行(ADB)も2025年9月30日に公表した報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの中で、バングラデシュのGDP成長率のデータを更新し、2025/2026年度は5.0%の成長を記録するとの見通しを示した。ADBは2024/2025年度の実績に関し、政情不安、労働争議と度重なる洪水による供給混乱、金融引き締め政策による需要減退により経済成長が鈍化したほか、サプライチェーン上の制約や通貨安が2桁パーセントの高インフレをもたらしたと指摘した。他方、2025/2026年度は国内需要の改善とインフレの緩和によって回復するとし、さらなる経済成長を達成するためには、事業環境の改善と安定したエネルギー供給の確保が必要と述べた。また、2026年2月に予定されている総選挙(2025年8月6日記事参照)と金融セクター改革の進展により、投資家の信頼感は向上するはずと述べる一方、米国の関税が経済成長を抑制し、工業生産の伸びは鈍化するだろうと予想している。

(片岡一生)

(バングラデシュ)

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