バングラデシュ総選挙は2026年2月のラマダン前に実施へ、7月憲章の議論は最終段階に
(バングラデシュ)
ダッカ発
2025年08月06日
バングラデシュ暫定政権のムハンマド・ユヌス首席顧問は8月5日、国民に向けてテレビ演説を行い、2026年2月に始まるイスラム教徒の断食月(ラマダン)前に総選挙を実施すると発表した。ラマダンの開始日は目視による月齢観測に依拠するが、2月17日または18日とみられており、総選挙は2月上旬に実施される可能性が高い。
総選挙の実施日について、ユヌス首席顧問は6月6日に2026年4月中と発表したが、6月13日に英国で前政権時の野党バングラデシュ民族主義党(BNP)のタリク・ラフマン議長代行と会談し、実行中の改革が進展すれば2026年2月第2週に実施できるだろうと、方針を修正していた(2025年6月16日記事参照)。
ユヌス首席顧問は演説で「われわれは、総選挙の日を断食明け祝祭のようなものにしたいと考えている。今回は投票の喜びを分かち合えるだろう。子どもたちと投票所に行き、市民権を行使する尊さを次世代に示してほしい。(中略)新たに投票権を得た人、15年前に投票資格を有していたが行使する機会がなかった人も、この日を永遠の思い出として刻むだろう」などと述べ、不正選挙が疑われたシェイク・ハシナ前政権(2009~2024年)を批判し、今回の総選挙での公平性や透明性の確保を誓った。
演説を受けて、BNP常任委員会のサラフディン・アメド氏は「本日は、われわれにとって大きな成果だ。既に確立された反ファシスト的な国民的結束を堅持し、さらに力強いものにすることで、国を前進させていく」と歓迎のコメントを出した。他方、2025年2月に学生が主導して設立した国民市民党(NCP)のサマンサ・シャーミン上級共同議長は「現状では、公正かつ受け入れ可能な選挙を想像することは難しい。単なる日程の発表は公正な選挙を保証するものではない」と述べ、否定的な受け止めを示している。
暫定政権と各党で構成するコンセンサス委員会が策定を進め、新政権が発足後2年以内の実行を求められる「7月憲章(July Charter)」の内容について、議論は最終の第3段階に入った。第1段階(3月20日~5月19日)では、コンセンサス委員会が33政党と個別に協議し、65以上の課題で合意に達した。第2段階(6月3日~7月31日)では、30政党とテーマ別に議論を行い、19の主要改革案について合意または決定に至った。第3段階では合意した改革をどのように実施するかが議論されると報じられている(「デーリー・スター」紙8月5日)。
(片岡一生)
(バングラデシュ)
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