半導体関連展示会「SEMICON WEST 2025」、米アリゾナで初開催
(米国)
サンフランシスコ発
2025年10月20日
半導体関連展示会「SEMICON WEST 2025」が10月7〜9日、米国アリゾナ州フェニックスで開催された。1970年に創設された同展示会は、今回初めてサンフランシスコを離れての開催だった。会場はフェニックス・コンベンションセンターで、展示ブースは1,500以上(前年比45%増)、登録者数は約3万5,000〜4万人に達し、過去18年間で最大規模となった。
今回のテーマは「1兆ドルへの道、人材・技術・貿易で持続可能な未来を形づくる」だ。国際半導体製造装置材料協会(SEMI)の米国支部SEMIアメリカのジョー・ストクナス代表は「米国の半導体産業はかつてない成長軌道にある」と述べ、2025年の世界の半導体売上高が6,790億ドルに拡大し、2030年には1兆ドルに達する見通しを示した。また、同展示会は2026年以降、サンフランシスコとフェニックスで交互に開催する方針が発表され、これは、台湾積体電路製造(TSMC)やインテルの新規工場などを中心に2,000億ドル以上の投資が集中するアリゾナ州の台頭を反映したものといえる。
(左)フェニックス・コンベンションセンター、(中)メインセッション、(右)展示場(ともにジェトロ撮影)
アリゾナ開催での新たな取り組みとして、スタートアップアクセラレーターのプラグアンドプレーとの共催で、半導体関連スタートアップによるピッチセッション(注1)も実施され、登壇企業はサステナビリティーと人工知能(AI)向けの製造効率化をテーマに発表を行った。
さらに、業界の功績をたたえる「SEMIシリコン・メダル」など各種の表彰が行われ、初回の受賞者として、アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)のリサ・スー最高経営責任者(CEO)が選ばれた。
全体を通じて、チップレット(注2)など先端パッケージングや、人材育成、AI向け半導体といった前年からの重点分野が引き続き議論された。多くのプレゼンテーションでは、地政学的リスクや貿易制度、国家安全保障の観点を踏まえ、サプライチェーンの焦点が「グローバル分業」から「地域分散・ローカライゼーション」へと再編されつつあるという認識が共有されていた。
(左)建築中のTSMC外観、(右)建設が始まったアムコア工場予定地(ともにジェトロ撮影)
アリゾナ州商務局が主催した視察プログラムでは、フェニックス郊外のインテルやTSMC、アムコアなどの各工場建設現場を訪問した(2025年10月17日記事参照)。TSMCの同州進出を契機に、同州では先端企業群の人材定着と、地域開発を目的とする住宅、小売店、ビジネスオフィスなどの開発プロジェクト「ハロービスタ」計画が進行中だ。ジェトロが現地担当者に行ったヒアリングでは、「10年後には台湾の新竹サイエンスパークをここに再現したい」と意気込みを語った。
(注1)スタートアップ企業や起業家が与えられた時間内で自社のビジネスアイデアやサービスを投資家や審査員にプレゼンテーションし、評価を受けるイベント。
(注2)従来の大規模な半導体チップを複数の小さなチップに分割し、それらを組み合わせて1つの機能を構築する技術。
(松井美樹)
(米国)
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