1~9月期の輸出入は前年同期比増と好調を維持、米国向け輸出額は2カ月連続で前月比減少
(ベトナム)
ホーチミン発
2025年10月15日
ベトナム税関局が発表した速報値によると、2025年1~9月の輸出は3,487億4,131万ドル(前年同期比16.0%増)、輸入は3,319億1,513万ドル(18.8%増)だった。輸出入ともに前年同期を上回り、好調を維持した。貿易収支は168億2,618万ドルの黒字だった。 主要国・地域別にみると、輸出は1位の米国が1,127億7,033万ドル(27.7%増)、2位の中国が496億2,426万ドル(11.3%増)、3位の韓国が213億7,292万ドル(12.4%増)だった(添付資料表1参照)。上位10カ国・地域の全てが前年同期比で増加し、輸出総額の7割超を占めた。
輸入は、1位の中国が1,344億1,296万ドル(前年同期比27.9%増)、2位の韓国が444億4,534万ドル(7.0%増)、3位の台湾が241億1,578万ドル(44.9%増)だった(添付資料表2参照)。
輸出を主要品目別にみると、1位はコンピュータ電子製品・同部品、2位は電話機・同部品、3位は機械設備・同部品だった(添付資料表3参照)。コンピュータ電子製品・同部品は前年同期比45.9%増の774億8,547万ドルで、米国向けが39.1%を占めた。
輸入は、1位がコンピュータ電子製品・同部品、2位が機械設備・同部品、3位が織布・生地だった(添付資料表4参照)。
米国向けの輸出を主要品目別にみると、1位がコンピュータ電子製品・同部品、2位が機械設備・同部品、3位が縫製品だった(添付資料表5参照)。コンピュータ電子製品・同部品は、前年同期比で74.3%増加したほか、玩具・スポーツ用品が3.45倍となった。玩具用品は、南部ホーチミン市で2025年2月に稼働したデンマークの玩具大手レゴグループが押し上げているようだ。
中国からの輸入を主要品目別にみると、1位はコンピュータ電子製品・同部品、2位は機械設備・同部品、3位は織布・生地だった(添付資料表6参照)。金属製品(前年同期比59.7%増)、コンピュータ電子製品・同部品(48.5%増)、機械設備・同部品(34.9%増)、プラスチック製品(33.7%増)、鉄鋼製品(30.0%増)など、部材調達が活発だった。
1~9月期の好調な輸出は、米国による相互関税の発動前に行われた駆け込み輸出と、それに伴う中国からの部材調達の増加によって支えられてきた。しかし、米国向けの輸出額は7月をピークに8月から減少に転じ、直近の単月比較(8月対9月)では輸出額は1.5%減少した。特に履物(前月比27.2%減)や縫製品(20.1%減)、アクセサリー・かばんなど(16.8%減)の労働集約型の最終消費財の落ち込みが顕著だった。これは、駆け込み輸出の反動や需要の低下など、複数の要因が重なったとみられるが、今後の動向を注視する必要がある。
(小林真龍)
(ベトナム)
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