貿易円滑化共同協議会を開催、ASEAN事務局が主要計画の進捗報告

(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス)

ジャカルタ発

2025年10月16日

ASEAN事務局(本部:ジャカルタ)は10月10日、マレーシアのランカウイ島で対面とオンラインでのハイブリッド形式で開催された第33回ASEAN貿易円滑化共同協議会(ATF-JCC:ASEAN Trade Facilitation Joint Consultative Committee)に合わせ、産業界の意見を求めるステークホルダー会合を開催した。産業界からはASEANビジネス諮問評議会(ASEAN-BAC)、EU-ASEANビジネス評議会、ジェトロなどが出席した。

同会合では、産業界によるASEANの貿易円滑化に関する改善要望や進捗確認が行われ、これにASEAN事務局が対応状況を説明した。主な回答は次のとおり。

  • 「ASEAN経済共同体(AEC)戦略計画(2026年~2030年)」(注1)の作業計画「貿易円滑化分野別戦略計画(SAP)(2026年~2030年)」は、2025年第4四半期(10~12月)の策定完了に向け、現在最終化の段階にある。
  • ASEAN加盟国(AMS)で統一的に非関税障壁(NTM)の実態を把握するために開発した「ASEAN NTM評価ツール」の取り組み状況について、(1)インドネシアは、特定されたNTMに関する調査を東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)と共同で実施、(2)マレーシアは、国境管理の効率化に向けた課題の精査や提言の実施などに着手、(3)ラオスは、国連貿易開発会議(UNCTAD)やアジア開発銀行(ADB)の支援を受け、評価ツールに基づく「NTM評価ガイドライン」を策定中。
  • 急送貨物や電子商取引の通関について、7月に開催されたASEAN税関局長会合で「税関当局と電子商取引プラットフォーム間のデータ情報交換に関するガイドライン」が承認された。同ガイドラインは、AMSが電子商取引事業者(プラットフォーマー)と協力枠組みを構築するための指針を提供するもの。
  • ASEAN物品貿易協定(ATIGA)の改定と同様に、ASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA)に急送貨物と電子商取引貨物に関する規定が盛り込まれる。特にDEFAの規定では、電子商取引を通じて購入され、とりわけ航空便により輸入される急送貨物の貿易円滑化に焦点を当てると説明した。
  • ASEANシングルウィンドウ(ASW)について、ASEAN-USAIDパートナーシッププログラム(AUPP)により、次世代のASW(ASW2.0)の技術仕様書を2025年12月の完成を目標に策定中。ASW2.0は相互に合意された1つ、または複数の国際標準通信プロトコルをサポートできるようになり、ダイアログパートナー(注2)の貿易プラットフォームとの連携を可能にし、貿易を促進する。

(注1)AEC戦略計画(2026年~2030年)は、2025年6月の第46回ASEAN首脳会議(サミット)で採択されている(2025年6月2日記事参照)。

(注2)ダイアログパートナーは、オーストラリア、カナダ、中国、EU、インド、日本、ニュージーランド、韓国、ロシア、英国、米国を指す。

(大滝泰史、ティアラ・ダルマシャンティ)

(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス)

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