都市鉄道2号線が着工、都市開発の進展に期待
(ベトナム)
ハノイ発
2025年10月21日
ベトナムのハノイ市人民委員会は10月9日、都市鉄道2号線の建設プロジェクトの着工式を開催した。
このプロジェクトは首相決定1578号(1578/QD-TTg)と国会決議188号(188/2025/QH15)に基づいて実施するもので、総投資額は約35兆6,800億ドン(約2,033億7,600万円、1ドン=約0.0057円)で、完成は2029年を予定する。工期や予算などは状況に応じて調整される。ハノイ市は同路線を重要なインフラ事業と位置づけ、市の予算活用に加え、日本政府のODAによる円借款供与に関する協議も進めている。
同路線は全長約11キロで、そのうち高架区間が1.94キロ、地下区間が8.9キロだ。ハノイ市北東部の新興開発地ナムタンロンに位置するスアンディン駅(C1)から、中心部のホアンキエム湖南東のチャンフンダオ駅(C10)までを結ぶ(添付資料図参照)。
全線にはC1~C10に10駅(高架駅3駅、地下駅7駅)を設置し、共産党や政府の機関近くや旧市街地なども通過する。ホアンキエム駅(C9)ではホアンキエム湖の東にある広場や公園に接続する。
車両基地はスアンディン駅に設置し、車両のメンテナンスや修理、運行訓練センターとして機能する。また、同駅をはじめとする幾つかの駅はハノイ市初のTODモデル(注)の実証拠点となり、交通ハブ、商業施設、複合住宅などが一体となって、同市北部の発展を牽引することが期待されている。
スアンディン駅~タイホータイ駅(C3)沿線の大規模都市開発のスターレイクプロジェクトでは、高島屋グループ(東神開発)や鹿島建設、サンケイビルなどが不動産開発に参画する。また、同路線は将来的には延伸が計画されており、住友商事の北ハノイスマートシティ(2023年11月30日記事参照)やノイバイ国際空港に接続することが見込まれる。交通の利便性向上が企業活動にも好影響をもたらすことが期待される。
なお、ハノイ市は10月10日の首都解放71周年記念日に合わせ、4~10日に同路線を含む交通インフラ、医療、文化、都市関連の8つの主要プロジェクトの同時着工を実施した。
(注)TOD (Transit-Oriented Development;公共交通指向型開発)モデルとは、鉄道駅などの交通ハブを中心とした都市設計手法のこと。駅周辺に住宅、商業施設、オフィスなどを集約し、住民が車を使わずに生活できるようにすることで、環境負荷の低減や地域の活性化などを目指す。
(グエン・ラン)
(ベトナム)
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