住友商事の北ハノイスマートシティプロジェクトが再始動

(ベトナム)

ハノイ発

2023年11月30日

住友商事は1111日、北ハノイスマートシティプロジェクトの開始記念式典をベトナム・ハノイ市北部ドンアイン区の開発予定地で開催した。新型コロナウイルスの流行などの影響で延期となっていた都市開発の大型投資があらためて始動する。式典にはグエン・ドク・ハイ国会副議長、ハノイ市人民委員会のズオン・ドク・トゥアン副委員長、山田滝雄・駐ベトナム日本大使らをはじめ、日越両国の企業、政府関係者が出席した。

写真 式典の様子(ジェトロ撮影)

式典の様子(ジェトロ撮影)

本プロジェクトは、住友商事とベトナム地場不動産大手のBRGグループが2032年の完成を目指して開発を進める。投資総額は約42億ドルで、本プロジェクトが投資認可を受けた2018年の対ベトナム直接投資認可額の約16%に当たる。ベトナム北部の空の玄関口であるノイバイ国際空港とハノイ市中心部を結ぶニャッタン・ノイバイ幹線道路沿いの271ヘクタールの開発を予定しており、金融、商業の新たな中心地となることを目指している。

当初、同社とBRGグループは2017年に共同開発に係る協定に署名し、2019年10月に起工式典を開催した(2019年10月16日記事参照)。しかし、新型コロナウイルスの流行などの影響から工事は延期となり、ハノイ市当局とマスタープランの修正について協議を重ねていた。その後、2023年7月に計画の変更が承認されたことから、本格的なプロジェクトの始動を記念し、今回の式典を開催した。

ハノイ市人民委員会のトゥアン副委員長は式典で、「本プロジェクトが交通渋滞の解消、安定的なエネルギー供給、教育の充実、医療アクセスの改善、ごみ問題の解決といった社会課題の解決に寄与することを期待している」と述べた。また、住友商事の本多之仁常務執行役員は「戦略的パートナーのBRGグループと共に、ASEANを代表するような世界屈指の都市圏を実現していきたい」と述べた。さらに、BRGグループのグエン・ティ・ガー会長は「本プロジェクトの成功を足掛かりに、他の省・市でもスマートシティを展開していきたい」とさらなる投資意欲を表明した。

ベトナムでは近年、日本企業と地場企業の協業による都市開発が進んでいる。南部ホーチミン市では、ベトナムの大手複合企業ビングループが開発を進めるスマートシティに三菱商事と野村不動産が参画している(2020年2月17日記事参照)。また、南部ビンズオン省では、東急グループが、インフラ・都市開発などを行う国営企業ベカメックスと共同で住居、商業施設、オフィスを統合した新都市を開発している(2023年8月10日記事参照)。

(橋本弘毅)

(ベトナム)

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