香港証券取引所がドバイに新子会社を設立、商品事業拡大へ

(香港、アラブ首長国連邦)

香港発

2025年10月30日

香港証券取引所(HKEX)は10月13日、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイに拠点を置く新子会社コモディティー・プライシング・アンド・アナリシス(CPAL)を設立したと発表した。

CPALは商品価格管理機関として、2025年4月にHKEXの完全子会社のロンドン金属取引所(LME)が発表した環境配慮型の金属にプレミアム(割増金)を上乗せする「サステナブル・メタル・プレミア」の開発支援を含め、世界的な金属市場に特化し、独立した価格情報の提供や市場分析を手掛ける。HKEXは新子会社の設立について、中東地域で商品事業の拡大を目指す意欲を示すとともに、中国と急成長する中東市場のさらなる連携強化に資するとしている。

近年、ドバイは主要なグローバル商品取引ハブとしての地位を確立している。2024年にはUAEは商品取引指数(注1)で米国に次ぐ世界第2位となった。また、ドバイは最新のグローバル金融センター指数(注2)で、中東・アフリカ地域で首位、全世界では第11位にランクインした。

HKEXのボニー・Y・チャン最高経営責任者(CEO)はCPAL設立について、グローバルな拠点拡大を進める中で重要な節目となるとした上で、「国際的なステークホルダーへのさらなるサービス向上と、信頼性の高い価格設定や分析結果の提供、サステナブルな金属市場の発展への加速を可能とする」と述べた。また、新子会社設立について「LMEを中核とした世界水準の商品事業構築に向けたHKEXの長期的なコミットメントと、中東地域のステークホルダーとの継続的なつながりを反映したもの」と位置付けた。

(注1)国際貿易における主要商品取引ハブとしての役割を評価する指標。取り扱っている商品の豊富さや、物流インフラ、その国の制度の強さなどを考慮したもの。ドバイ・マルチ・コモディティー・センター(DMCC)が作成し、2018年から隔年で公表されている。

(注2)英国のシンクタンクZ/YENグループと中国総合開発研究院が共同して作成する世界120の金融センターの将来の競争力を評価し、順位付けした指標(2025年10月16日記事参照)。

(越川剛)

(香港、アラブ首長国連邦)

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