香港がグローバル金融センター指数で世界第3位に
(香港)
香港発
2025年10月16日
英国のシンクタンクZ/YENグループと中国総合開発研究院は9月25日、第38回グローバル金融センター指数報告書を発表した。今回評価の対象となった世界120の金融センターのうち、香港については、前回から総合評価が4ポイント上昇し、764ポイントとなった。世界第3位、かつアジア太平洋地域で前回に続いて第1位を維持した。世界第1位のニューヨーク、第2位のロンドンとの差はそれぞれ、2ポイントと1ポイントに縮まった。
今回、香港はフィンテック分野で前回の世界第4位から第1位に躍進したほか、「ビジネス環境」「インフラ」「評判・総合評価」でも順位を上げ、世界第1位の評価を受けた。また、「人的資本」「金融セクターの発展」についてはそれぞれ、世界第2位、第3位に付けた。香港は、さまざまな金融セクターの専門家からの評価でも上位に位置付けられ、「銀行」「投資管理」「保険」「金融」の各分野で世界トップ3の座を維持した。
こうした評価を受け、香港政府の報道官は「世界の政治・経済情勢が複雑に変化する中、香港は『一国二制度』という独自の優位性を維持し、中国本土と世界を結ぶ『スーパーコネクター』『スーパーバリューアダー』としての役割を十分に果たしている」とした。また、フィンテック分野で世界第1位となったことについては、「政府と業界が長年にわたって技術を活用し、より便利で効率的かつ包摂的な金融サービスを提供すべく、協力してきた努力が国際的に認められた結果」だとした。
同報道官は「フィンテック分野の発展を積極的に受け入れ、最先端技術を奨励するとともに、デジタル資産の発展を推進している」とした上で、今後の方針については、6月に「香港のデジタル資産発展に関する政策声明2.0」を発表し、デジタル資産分野のグローバルイノベーションハブとして確立する決意を明確に示したことや、8月にステーブルコイン発行者に関する規制を施行し、デジタル資産取引サービスやカストディアンサービス(注)に関するライセンス制度の立法案も策定中であることを紹介した。さらに、金融インフラの強化も継続して行い、オフショア人民元と中国国債のより良い活用策を講じるとともに、投資家のニーズに応えつつ、本土と国際資本市場を結ぶ香港の機能、グローバルなオフショア人民元ビジネスハブとしての役割を強化することなどにも言及した。
(注)投資家に代わって株式や債券など有価証券の保管・管理を行う金融機関。
(越川剛)
(香港)
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