ボリビア大統領選で中道のパス氏当選、米国務長官は市場アクセス改善に協力表明
(ボリビア、米国、中南米)
リマ発
2025年10月21日
ボリビア大統領選挙は、8月の第1回投票に続いて(2025年8月19日記事参照)、10月19日に決選投票が行われた。選挙の運営・管理を担う多民族国家選挙機構(OEP)の発表によると、翌20日午後9時36分時点(ボリビア時間)で既に開票作業は終了して、集計が進められており、中道のキリスト教民主党(PDC)のロドリゴ・パス上院議員が得票率52.59%で、右派の自由と民主主義同盟(LIBRE)のホルヘ・キロガ元大統領は47.41%で、パス氏の当選が決まった。
最大の争点は経済の立て直しだった。パス氏は経済再建に当たって、中央政府と地方政府との関わり方を見直す方針を示し、中央政府から地方自治体に権限と予算を移す「50-50アジェンダ」を公約に掲げていた。地方自治体に権限と予算を移す場合、実効性を高めるために自治体職員の能力向上も不可欠で、具体的な成果を打ち出せる仕組みづくりが求められそうだ。
約20年間続いた左派の社会主義運動党(MAS)政権は、ドルなどに依存しない国家とするための外貨規制や独自のエネルギー政策を取ってきたが、今回の政権交代により、国際社会との向き合い方も変わりそうだ。例えば、パス氏はAPEC加盟を目指すともコメントしている。現実的には、APEC加盟に向けたハードルは高いが、諸外国との関係改善を目指す姿勢を示していると言える。
米国のマルコ・ルビオ国務長官は、当選を確実にしたパス氏と歴史的な瞬間を迎えたボリビア国民に対して、米国として祝福のメッセージを送ると発表した。その上で、「米国とボリビアが共有する不法移民対策や、2国間投資のための市場アクセス改善、地域の安全のための国際犯罪集団への対策などといった優先課題について、米国はボリビアに協力する用意がある」とコメントした。
(石田達也)
(ボリビア、米国、中南米)
ビジネス短信 167950f4b451c3fd