ブラジルのルーラ大統領がインドネシアを公式訪問、2国間のさらなる貿易促進を約束
(ブラジル、インドネシア)
調査部米州課
2025年10月27日
ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は10月23日、インドネシアを公式訪問し、同国のプラボウォ・スビアント大統領とジャカルタの大統領宮殿で会談を行った。10月23日付ブラジル政府系メディア「アジェンシア・ブラジル」によれば、両国の大統領は、農業、エネルギー、貿易、教育、防衛、科学技術など多岐にわたる分野で複数の覚書を締結した。両者は会談の中で、国連安全保障理事会の改革の必要性やBRICSの果たす役割などで協議し、両国の外交姿勢について共通の見解を確認した(注1)。また、会談の中でルーラ大統領は、両国間の貿易における自国通貨の使用を提案した(10月23日付「アジェンシア・ブラジル」)。
ブラジル農業・畜産省とインドネシア検疫庁との間の覚書では、衛生・植物検疫(SPS)措置の調和を図るべく、検疫技術や認証制度に関する技術協力や情報交換を行い、共同作業部会の設立を通じて、協力を実行に移していく旨が約束された。両国間の農畜産物貿易の促進を目指す。インドネシアは2025年8月、ブラジル産骨付き牛肉、牛の内臓、肉製品、加工肉の輸入を解禁している(2025年8月28日記事参照)。
ブラジル鉱山・エネルギー省とインドネシア・エネルギー・鉱物資源省との間の覚書では、両国間のエネルギーや鉱業分野における協力を強化する旨を約束した。主な協力分野は、再生可能エネルギー、鉱業、水素、電力インフラなど。これらの分野に関して、両国の政策、規制や法制度に関する情報共有を行い、年次会合や作業部会の設置によって継続的な対話を行う。なお、ブラジルの電力構成は、再生可能エネルギーが9割弱を占めている(注2)。
ルーラ大統領はまた、会談後のインタビューで、2026年に実施予定の大統領選挙に立候補する意向を示した(10月25日付「CNNブラジル」)。ルーラ大統領は、「再選が決まれば、インドネシアとより強固な外交および経済関係を構築できる」と述べた。さらに、2021年以降停滞している、インドネシア・メルコスール包括的経済連携協定(CEPA)についても2025年12月までに進展させる方針を明らかにした。ルーラ大統領は、「世界的な保護主義の高まりの中で、両国が対話と相互尊重を通じて経済的利益を守っている旨を世界に示すことができる」と、協議の進展に期待を寄せた。
(注1)インドネシアは、2025年にBRICSに加盟した。
(注2)2023年のブラジルの電源構成は、水力発電が58.9%、風力発電が13.2%、バイオマスが8%、太陽光発電が7%と、再生可能エネルギーが9割弱を占める。詳細は、2024年10月25日付地域・分析レポート参照。
(辻本希世)
(ブラジル、インドネシア)
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