ブラジルからの骨付き牛肉輸入をインドネシアが解禁

(ブラジル、インドネシア)

調査部米州課

2025年08月28日

ブラジル農業・畜産省は8月9日、インドネシア保健当局との間で、ブラジル産農畜産物のインドネシア向け輸出に関する検査および承認に関する協定を締結した。ブラジルは今後、骨付き牛肉、牛の内臓、肉製品、加工肉のインドネシア向け輸出が可能となる(8月9日付ブラジル農業・畜産省公式リリースおよび8月19日付政府系メディア「アジェンシアブラジル」)(注1)。

インドネシアでは、昨今の所得向上と都市部を中心とした中間層の拡大により、牛肉の消費量が増加傾向にある(8月22日付「メルコプレス」)(注2)。2024年のブラジルからインドネシア向け輸出額は43億8,000万ドルで、輸出相手国の第15位。ASEAN諸国の中では、シンガポールが輸出相手国の第7位(輸出額は約62億2,300万ドル)で、それに次ぐ輸出規模となる。2024年のブラジルからインドネシア向け輸出では、最大の輸出品は、HSコード2304.00に分類される大豆油かす(輸出額に占める割合は37.5%)、次いで多いのは、HSコード1701.14に分類される砂糖(同37.2%)(注3)。その他、綿、木材パルプ、大豆などの一次産品輸出が多い。両国関係では、ブラジルが加盟する関税同盟のメルコスールとインドネシアの間で、2021年に自由貿易協定(FTA)交渉開始で合意している。

米国のドナルド・トランプ大統領は2025年7月30日、ブラジルからの輸入に対して40%の追加関税を課す大統領令を発令し、10%のベースライン関税に上乗せして、追加関税率を50%に引き上げた。ブラジルは米国向けに牛肉(注4)を輸出しており、50%の追加関税の対象になっている。ブラジル代表する牛肉輸出事業者によれば、今回のインドネシアにおける輸入解禁によりブラジル牛肉輸出のさらなる拡大が見込まれ、また、近日中にブラジル国内のいくつかの食肉加工施設が認可を受ける見込みで、これにより合計で38の施設が輸出を承認されることになるという。

(注1)メルコスール事務局の統計によれば、ブラジルからインドネシア向けには、HSコード0202.30に分類される、冷凍の骨なし牛肉の輸出実績がある。2019年に骨なしの牛肉輸入が解禁されている。

(注2)インドネシア中央統計局のデータで都市別の牛肉消費量を確認すると、首都ジャカルタでの消費量が最も多かった。ただ、安価な鶏肉の消費量と比較すると(ジャカルタにおける)牛肉消費量は6分の1に満たない。インドネシアには、牛肉を使った家庭料理も多いことから、今後、所得の上昇に伴い消費が増加するとみられる。

(注3)実行関税率表の品目は「甘しや糖、てん菜糖および化学的に純粋なしよ糖(固体のものに限る)」

(注4)2024年に輸出実績があるのは、HSコード0201.30(生鮮の骨なし牛肉)、0202.20(冷凍の骨付き牛肉)、0202.30(冷凍の骨なし牛肉)。

(辻本希世)

(ブラジル、インドネシア)

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