インド自動車販売、第2四半期末に成長軌道へ、GST減税が追い風

(インド)

ベンガルール発

2025年10月29日

インド自動車工業会(SIAM)は10月15日、2025年度第2四半期(7~9月)と9月単月の自動車統計(出荷ベース)を発表した。年度第2四半期の自動車販売(乗用車、二輪車、三輪車の合計)は前年同期比6.1%増の707万297台と、プラス成長に転じた。9月単月でも、自動車販売は前年同月比5.6%増の255万7,757台で、3カ月連続のプラス成長となった(添付資料表1参照)。

乗用車〔多目的車(UV)とバンを含む〕は第2四半期で前年同期比1.5%減と微減したものの、第2四半期末の9月単月では、地場タタ・モーターズを含めると、前年同月比4.4%増の37万2,458台と、回復の兆しを見せた(注)。一方、乗用車の輸出は第2四半期で過去最高の24万1,554台となり、前年同期比23.1%増を記録した。

二輪車は、第2四半期で前年同期比7.4%増の556万2,077台と好調だった。セグメント別では、スクーターが12.4%増と大きく伸び、オートバイも5%増と堅調だった。農村部の需要や9月末の物品・サービス税(GST)引き下げ(2025年9月25日記事参照)が成長を支えた。9月単月の販売台数は前年同月比6.7%増の216万889台だった。輸出も同四半期で過去最高の129万5,468台で、前年同期比25.0%増を記録した。

三輪車は第2四半期で前年同期比9.8%増の22万9,239台で、過去最高を記録した。都市・準都市部での輸送需要の高まりや、買い替え需要が背景にある。

9月単月のメーカー別販売動向については、乗用車部門で首位のマルチ・スズキは前年同月比8.4%減の13万2,820台で、全体シェアは42%だった。マヒンドラ&マヒンドラは10.1%増と好調、続いて現代が0.9%増で、ほぼ横ばいだった。トヨタ・キルロスカは13.8%増、シュコダ・オートはほぼ2倍に伸長した(添付資料表2参照)。

同じく9月単月のメーカー別二輪車の販売動向では、首位のヒーローが前年同月比5.0%増の64万7,591台で、首位を維持した。2位のホンダが5.7%減、3位のTVSモーターは12.0%増だった(添付資料表3参照)。

SIAMのシャイレシュ・チャンドラ会長は「GST改革は自動車産業の成長を加速させ、経済全体にも活力をもたらすだろう。新たなGST税率は9月22日から施行され、同月内の施行期間はわずか9日間に限られたにもかかわらず、乗用車と二輪車、三輪車合計の9月販売は過去最高を記録した」と述べた。

今後、インド最大の祭典であるディワリに向けて、例年10月は消費が大きく伸びることが予想される中で、GST引き下げが追い風となり、自動車業界は全セグメントでの成長が期待される。

(注)SIAM発表の統計では31万2,791台だが、この数字には地場企業タタ・モーターズの販売台数が含まれていないため、これを含めると37万2,458台となる。タタ・モーターズの販売台数は単月の乗用車販売台数のみ公開。全体の自動車販売台数や、セグメント別、メーカー別、車種別、二輪車、三輪車統計には含まれない。

(小柴里沙)

(インド)

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