米テキサス州知事、スターゲートを超える大規模AIデータセンターの投資予定を示唆
(米国)
ヒューストン発
2025年10月03日
米国テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)は9月24日、テキサス州経済開発公社によるインベスター・サミットに登壇し、同州の経済の堅調さについて語った。アボット知事は「未発表ではあるが、人工知能(AI)関連で、『スターゲート』よりも大規模な投資がテキサス州で予定されている」と述べた。
「スターゲート」プロジェクトは2025年1月に発表された、オープンAI、ソフトバンクグループ、オラクルの3社が5,000億ドル規模の出資を行うAI関連インフラの大規模投資計画で、テキサス州アビリーンに建設中の10棟のデータセンターは同計画の旗艦拠点だ。3社は9月23日に、同プロジェクトの一環として、米国内に5つの新データセンターを建設すると発表した(2025年9月3日記事参照)。これには、テキサス州シャックルフォード郡と、同州ミラム郡の拠点が含まれる。全てのデータセンターが完成すれば、7ギガワットのAI関連データ・クランチング(大量データの処理・加工)が可能となる。
テキサス州には2024年9月時点で279カ所のデータセンターがあり、うち141カ所はダラス・フォートワース地域に所在する。増設が進むデータセンター事業は、経済開発や雇用促進の点では喜ばしい半面、ばく大な消費エネルギーが課題となる。テキサス州は電力自由化が進んでおり、独自の電力供給網で90%を自給している。価格競争により消費者にとって選択肢が広がることや連邦の規制などによる影響が少ないといった利点はあるが、ハリケーンや竜巻、寒波などの災害による停電の際には、隣接の州からの電力供給を受けることができないため災害時の脆弱(ぜいじゃく)性が高い。
データセンター事業に伴う環境対策も、重要な課題だ。メタ、アマゾン、グーグル、マイクロソフトは、データセンターで消費する電力を100%再生エネルギーで賄う取り組みや、水の節約や再利用を進めており、2030年までに節水や脱炭素などの環境対策を確立する目標を掲げている。
(キリアン知佳)
(米国)
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