米エヌビディア、オープンAIに最大1,000億ドル出資、スターゲートと並行し米国内5拠点で新データセンター建設へ

(米国)

サンフランシスコ発

2025年09月30日

米国の半導体大手エヌビディア(本社:カリフォルニア州サンタクララ)は9月22日、オープンAIに最大1,000億ドルを段階的に出資し、次世代人工知能(AI)インフラを支援する計画を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。総電力容量10ギガワット(GW)におよぶ複数のデータセンターを建設する方針で、エヌビディアは第1弾として100億ドルを出資し、オープンAIの株式を取得する。今後は1GW稼働ごとに追加投資を行い、2026年後半には新世代「Vera Rubin(注)」チップを搭載した最初の施設が稼働する見通しだ。

エヌビディアの公式声明で、今回の出資は「スターゲート計画を補完するもの」と位置付けられている。スターゲート計画はオープンAI、ソフトバンクグループとオラクルが共同で設立した総額5,000億ドル規模のAIインフラ計画だ(2025年1月28日記事参照)。オープンAIはその一環として、2025年9月23日に両社と協力し米国内に5つの新データセンターを建設すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。オラクルが主導するのは、テキサス州シャックルフォード郡、ニューメキシコ州ドーニャアナ郡、中西部の未公表地域の3拠点で、同社が建設費を負担し、完成後にオープンAIにクラウド経由で演算能力を提供する。オープンAIは、既に完成しているテキサス州アビリーンの拠点では、エヌビディア製の最新ラックを導入して次世代モデルの訓練を開始している。

一方、ソフトバンクグループが主導するのは、オハイオ州ローズタウン、テキサス州ミラム郡の2拠点で、ミラム郡では子会社のSBエナジーが電力インフラを提供する。ローズタウンでは、既に建設が始まっている。両拠点ともに複数ギガワットの規模に拡張することが可能で、スターゲート計画における費用効率や拡張性の面で重要な位置づけにある。

ただしロイターによると、1GWあたり500億ドルとされる建設費用の大半は未調達で、エヌビディアの1GWあたり100億ドルの出資のみでは不十分と指摘されている。そのため、オープンAIは非営利法人だが、資金調達を容易にするために公益株式会社への法人形態の転換を模索している(「ロイター」9月23日)。

(注)エヌビディアの「Blackwell」世代の後継で、消費電力効率、メモリ帯域、スケーラビリティをさらに強化した次世代GPUアーキテクチャ。

(松井美樹)

(米国)

ビジネス短信 10bd2e80cc4a96a1