大阪・関西万博マレーシア館、ヌグリ・スンビラン州がテーマウィーク開催

(マレーシア、日本)

調査部調査企画課

2025年10月09日

マレーシアのヌグリ・スンビラン州政府は9月29日~10月3日、大阪・関西万博マレーシア館で、同州の紹介や中小企業を含む日本企業からの投資促進のためのテーマウィークを開催した。

ヌグリ・スンビラン州では、2024年10月時点で日系企業52社が操業している。主要な集積地と比べると少ないものの(注1)、クアラルンプール国際空港から約45分(56キロ)、主要港のクラン港からは約75分(93キロ)とアクセスがよく、ハラール工業団地もあることから、食品メーカーの進出先として注目が高まっている(2024年8月26日付地域・分析レポート参照)。

テーマウィーク初日の29日には、協力覚書(MOU)交換式および新規投資家への感謝式典が開催された。ヌグリ・スンビラン州のアミヌディン・ハルン首相の立ち会いのもと、日本企業・金融機関とマレーシアの不動産開発会社の間で3件のMOUが締結された。うち1件は、THP エンステック・デベロップメントと霞ヶ関キャピタルのマレーシア現地法人(Kasumigaseki Capital)の間で結ばれた。同州の工業団地・都市開発地域バンダール・エンステックにおける自動倉庫プロジェクトに関する内容だ。霞が関キャピタル現地法人からの総投資額は3億リンギ(約105億1,200万円、1リンギ=約35円)に上る。そのほか、武蔵野銀行と武銀地域経済研究所がそれぞれ、エコワールド(Eco World)とMOUを締結し、エコワールドが同州で開発した工業団地への日本の中小企業の進出支援などを行うことで合意した。

テーマウィーク後半の10月1日には、同州における「ハラール・エコシステム」セミナーが開催された。マレーシア現地で製造を行うマレーシア企業マレーシアン・ヨーグルト(Malaysian Yoghurt)などが登壇し、同州のハラール産業の拠点としての参加者とのネットワーキングが実施された。また、9月30日と10月2日にはマレーシア企業10社とのビジネス商談会が行われ、日本企業計30社が参加し、新たな協力関係の構築を図った。

マレーシア館でビジネスイベントや投資促進活動を行うマレーシア投資開発庁(MIDA、注2)大阪事務所のグラム・ムザイリ所長は、同州について「マレーシア進出を検討する日本の中小企業にとって、立地の利便性に加え、コストの面からも安定した事業運営を行える次なる選択肢だ」とその可能性を述べた。

写真 MIDA大阪のグラム・ムザイリ所長(ジェトロ撮影)

MIDA大阪のグラム・ムザイリ所長(ジェトロ撮影)

写真 ハラール・エコシステムセミナーの様子(MIDA提供)

ハラール・エコシステムセミナーの様子(MIDA提供)

(注1)ジェトロの調べによると、マレーシアに進出する日本企業の約7割は、クアラルンプールと隣接するスランゴール州に進出(1,114社)している。次いでジョホール州(141社)、ペナン州(126社)に多い。

(注2)同機関は、マレーシア全国の工業団地の情報を閲覧できるデジタルプラットフォーム「マレーシア・サイト・セレクション・ポータル(MYサイト・セレクション・ポータル)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも運営(2024年12月26日記事参照)。

(樋口彩乃)

(マレーシア、日本)

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