マレーシア、大阪・関西万博を通じ、当初目標を大幅に上回る貿易投資機会を創出

(マレーシア、日本)

クアラルンプール発

2025年10月30日

2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のマレーシア館は10月13日、6カ月間の展示を終えて閉館式と記者会見を開催した。会期中、同館では関係省庁や政府機関、地方政府がそれぞれの所掌分野をテーマにしたさまざまなイベントを週替わりで企画運営した。

マレーシア投資貿易産業省(MITI)のハイリル・ヤフリ・ヤアコブ事務次官は、同国が万博を通じて、当初目標としていた130億リンギ(約4,680億円、1リンギ=約36円)を大幅に上回る244億5,000万リンギの潜在的な貿易・投資機会を獲得したと成果を強調した。半導体や再生可能エネルギー、グリーン技術など、マレーシアの重点分野に関する70件超の覚書が締結された。セミナーや商談会といったビジネスイベントが多く開催されたことが功を奏した。

また、同省傘下のマレーシア投資開発庁(MIDA)のシク・シャムスル・イブラヒム・シク・アブドゥル・マジド長官は、今後も日本やアジア太平洋地域からの投資誘致に向け、経済外交の深化や、持続可能な投資プラットフォームの推進、地域主導的な立場の活用を通じて、魅力的な投資先としてのマレーシアの認知度を高めていく方針を明らかにした(2025年10月22日記事参照)。さらに、マレーシア貿易開発公社(MATRADE)のモハド・ムスタファ・アブドゥル・アジズ長官は、日本がマレーシアの貿易促進の重要な市場であることを強調する一方、マレーシアがASEAN市場への理想的なゲートウエーで、日本にとっても戦略的パートナーとなり得ると語った。同様に出席したシャフリル・エフェンディ・アブドゥル・ガニー駐日マレーシア大使は万博について、日マレーシア関係を強化する重要なプラットフォームとして、マレーシアのイメージを大きく向上させ、両国間のさらなる連携の可能性を広げたと評価した。

なお、マレーシアは2026年に「ビジット・マレーシア」と称した観光年を迎える。万博の同国館は当初の目標の150万人を大きく上回る351万人を受け入れ、万博として過去最多の来場者数を記録した。ハイリル氏によると、2025年7月時点で、同国を訪問した日本人観光客数は21万9,389人で、前年同期比16.2%増加した。同氏は万博での成果が今後の経済・観光交流のさらなる加速につながると期待し、「この流れは今後も継続し、ビジット・マレーシア2026での4,700万人の観光客数目標に対し、日本人観光客の増加が大きく貢献するだろう」との見通しも示した。

写真 閉館式と記者会見、左からムスタファMATRADE長官、ハイリルMITI事務次官、シャフリル駐日マレーシア大使、シャムスルMIDA長官(ジェトロ撮影)

閉館式と記者会見、左からムスタファMATRADE長官、ハイリルMITI事務次官、シャフリル駐日マレーシア大使、シャムスルMIDA長官(ジェトロ撮影)

写真 マレーシア館の外観、「調和の未来を紡ぐ」のテーマを体現した竹のファサード(ジェトロ撮影)

マレーシア館の外観、「調和の未来を紡ぐ」のテーマを体現した竹のファサード(ジェトロ撮影)

写真 スマートシティー構想を紹介する展示(ジェトロ撮影)

スマートシティー構想を紹介する展示(ジェトロ撮影)

写真 豊かな文化遺産を象徴する「調和の木」のモチーフ(ジェトロ撮影)

豊かな文化遺産を象徴する「調和の木」のモチーフ(ジェトロ撮影)

(戴可炘)

(マレーシア、日本)

ビジネス短信 0689ea4564584377