アルジェリア政府、輸入規制措置を追加導入
(アルジェリア)
パリ発
2025年09月26日
輸入政策の実施を担うアルジェリア輸入管理機関の創設などを通じて、輸入管理体制を強化している中(2025年9月24日記事参照)、同国政府は7月以降、並行して複数の輸入規制措置を導入した。既存の輸入規制(ジェトロの2024年8月13日付調査レポート参照(462KB))への主な追加措置は次のとおり。
〇「輸入予測計画」提出の義務付け
対外貿易・輸出促進省の指示に基づき、銀行・金融機関職業協会(ABEF)は7月9日付の通知書を通じて、国内銀行に対して、7月1日以降に信用状の開設など輸入取引決済に関する手形支払場所指定(Domiciliation)申請を受け取る際、再販を行っている輸入企業のみならず、自社利用を目的に輸入を希望する企業についても、「輸入予測計画」の提出を義務付けた。当該計画は、銀行への提出前に、対外貿易・輸出促進省の正式な承認を受ける必要がある。承認済み計画が銀行に提出されない場合は、国外の取引先への外貨支払いは不可となる。対外貿易・輸出促進省が承認する2025年下半期分の「輸入予測計画」の提出期限は7月31日に設定されたが、企業の対応遅れのため、8月10日に延長した(7月25日付「アルジェリア・エコ」)。
同措置の背景は、2025年上半期に輸入業以外の企業が製造業などに関連する商業登記を利用して自社利用として輸入し、実際は再販売を行う違反事例が増加傾向にあったことだ。これらの行為が現行の輸入規則の迂回手段と見なされた(8月18日付「アルジェリア・エコ」)。
〇サービス輸入に対する事前許可取得の義務付け
ソフトウエア、コンサルティング、ライセンス、技術支援など、全てのサービスの輸入には、対外貿易・輸出促進省が発行する事前許可の取得を条件とする。許可がなければ、決済に必要となる手形支払場所指定が不可能となる。
形のないサービスは性質上、監視が困難なため、過剰請求や不正な外貨送金の阻止が同措置の狙いとされている。
〇輸入取引の決済に利用する銀行数の制限
輸入を行う企業は上記の輸入予測計画について、手形支払場所指定の申請に向け、原則として単一の銀行を指定しなければならない。大規模企業に限り、複数の銀行を指定することが可能だが、その場合は事前に対外貿易・輸出促進省への通知が必要となる。
現地の複数報道によると、これらの措置は不正な輸入を取り締まりや、外貨流出の阻止を目的とするが、機械設備などを正当に輸入する製造業などにとって、輸入手続きの所要時間がさらに延びるなどの輸入障壁となり、投資・ビジネス環境の悪化につながる懸念があるという。
(ピエリック・グルニエ)
(アルジェリア)
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