フランスで10月1日から衣類のエコスコア表示が施行
(フランス、EU)
パリ発
2025年09月16日
フランスで、衣類のエコスコア表示に関する施行令(フランス語)と省令
(同)が9月9日に公布された。「環境コスト」と名付けたエコスコアは任意表示とし、10月1日から施行される。規制案は5月に欧州委員会から承認を受けていた(2025年5月27日記事参照)。
表示対象となるカテゴリーは、下着(ボクサーパンツ、トランクス、ショーツ)、靴下、シャツ・ブラウス、ジーンズ、ワンピース・スカート、水着、コート・ジャケット、ズボン・ショートパンツ、セーター、Tシャツ・ポロシャツで、衣類の大部分をカバーしているが、ブラジャーやダウンジャケットなどはまだ基準値が規定されておらず、対象外となる。
エコスコアのポイントは、エコロジー転換・生物多様性・森林・海洋・漁業省がフランス環境エネルギー管理庁(ADEME)とオープンソースで開発した環境負荷算定ツール「エコバリーズ(Ecobalyse)」を使って計算できる(2024年12月3日地域・分析レポート参照)。
「エコバリーズ(Ecobalyse)」は、温室効果ガス(GHG)排出や、生物多様性への損害、水や資源の消費、汚染の影響など、EU製品環境フットプリント(PEF)の16の基準に、フランス独自の基準としてマイクロファイバーの放出、回収された古着の欧州外への輸出、修理へのインセンティブ、生産量を考慮した「ファストファッション係数」などを追加したものだ。エコスコアのポイントが低いほど環境負荷が低い製品となる。他の製品と比較できるよう、製品全体のポイントだけでなく、100グラム当たりのポイントも併せて表示する。
エコスコアの導入は、2021年8月公布の気候変動対策・レジリエンス強化法(フランス語、2021年12月6日付地域・分析レポート参照)第2条で定められた。消費者に対し、製品の環境への影響に関して透明性ある情報を提供し、より良識的な選択を促すとともに、共通のルールに基づく公的制度を設けることで、製造業者やディストリビューターに対し、エコデザインの取り組みを奨励、評価することを目的としている。
同法はエコスコアを義務表示とすると規定していたが、欧州委の承認を得られるよう、施行令と省令の段階で任意表示に修正した。今後、家具や化粧品などもエコスコアの対象となる予定だ。
(奥山直子)
(フランス、EU)
ビジネス短信 ec018217eaf91140