中国ラオス鉄道の出入国手続き簡素化へ、「一地両検」協定に調印

(ラオス、中国)

ビエンチャン発

2025年09月16日

ラオス政府と中国政府は9月4日、中国ラオス鉄道の国際旅客列車の税関・出入国審査を1カ所で実施する制度「一地両検」に関する協定に正式調印した。この制度は、両国間の鉄道による越境手続きを簡素化し、所要時間を短縮することが目的で、旅客の利便性向上が期待される。

同制度を通じて、ラオスから中国に向かう旅客は、ラオス側のボーテン駅でラオスの出国審査と中国の入国審査を同一施設内で受けることができる。一方、中国からラオスに向かう旅客は中国側のモーハン駅で両国の審査を受けられる。現行の「両地両検」方式と比べて、乗客の移動効率が大きく改善される見込みだ。

現行制度では、ラオスから中国に向かう旅客はボーテン駅で出国手続きを行った後、鉄道で国境を越えてモーハン駅で下車し、中国の入国審査を受ける必要があった。中国発の場合も同様だ。2023年4月の運行開始当初には、両駅での手続きに3時間を要し、ビエンチャン駅から昆明南駅までの所要時間は10時間30分だった(2023年4月26日記事参照)。その後、運行ダイヤの調整や審査レーンの増設などにより、2023年7月には手続きに要する時間が約1時間短縮され、同区間の所要時間は9時間26分まで改善されている。

両国はさらなる所要時間短縮を目指して協議を重ね、今回の調印に至った。ジェトロがラオス公共事業運輸省鉄道局に行ったヒアリング(9月10日)によると、今後は入国審査官や税関職員の相互配置などの調整を進め、早期の制度運用開始を目指すという。

なお、国際旅客列車による越境利用者数は、列車の増便などにより、2025年1~8月に16万2,000人と、前年同期比4.7%増だった。今回の制度の導入は、両国の経済、特に観光分野のさらなる活性化に寄与するとみられる。

写真 中国のモーハン駅で出国手続きに向かう旅客(ジェトロ撮影)

中国のモーハン駅で出国手続きに向かう旅客(ジェトロ撮影)

(山田健一郎)

(ラオス、中国)

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