10月1日から民生用電気料金を平均0.71%引き上げ

(台湾)

調査部中国北アジア課

2025年09月26日

台湾の経済部は9月19日、第2回電気料金審議会を開き、10月1日からの民生用電気料金を平均0.71%引き上げると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。台湾電力によれば、2022年から2024年にかけて国際燃料価格が大幅に上昇し、売電価格は供給コストを下回り、2025年7月末時点で累積損失は4,179億台湾元(約2兆477億円、1台湾元=約4.9円)に達する。また、前回の電気料金審議会では、経済部に対し台湾電力への予算補填(ほてん)を要請したが、立法院を通過せず、財務状況は非常に厳しい状況だ(注)。

電気料金の引き上げ幅は、住宅用の場合には700キロワット時(kWh)以下は0.1台湾元/kWh、701~1,000kWhは0.2台湾元/kWh、1,001kWh以上は0.4台湾元/kWh、小規模商店の場合には700kWh以下は0.1台湾元/kWh、701kWh以上は引き上げなし、とした。

経済部は、今回の民生用電気料金の調整は、長期にわたり同電気料金がコストから乖離しているためと説明した。例えば、現在の住宅用平均電気料金は2.77台湾元/kWhであり、台湾電力の2025年1~7月の平均売電コストの3.8台湾元/kWhを大幅に下回っている。今回の電気料金調整後、一般的な4人家族の月間平均使用量が約700kWhの場合、月平均の電気料金は最大70台湾元増加する見込み。小規模商店の月額電気料金の増額も最大70台湾元にとどまる。また、農業、漁業、学校(幼稚園から大学まで)、社会福祉団体や生命維持装置を使用する障がい者世帯については、電気料金を据え置く。

経済部の龔明鑫部長は今回の引き上げについて、「最近の世界的な燃料価格の緩やかな推移と物価の安定した状況を踏まえ、今回の引き上げのタイミングは適切であり、物価への影響はごくわずかだ」と述べた(「中央通訊社」9月20日)。

行政院の李慧芝報道官は「調整後の住宅用電気料金は2.89台湾元/kWhとなるが、近隣の韓国3.96台湾元/kWh、日本6.8台湾元/kWh、シンガポール7.73台湾元/kWhと比べても依然として安い」と説明した(「中央通訊社」9月19日)。

(注)2025年4月24日に承認された米国関税政策の影響に対する特別条例には、台湾電力に対する1,000億台湾元の補助が含まれていたが、その後7月11日に野党が提出した改正案では台湾電力への補助は削除され、1人1万台湾元の現金給付を行うこととし、同改正案は立法院を通過、公布された(2025年8月4日記事参照)。

(江田真由美)

(台湾)

ビジネス短信 d117f335a41e8175