8月のインフレ率は前年同月比2.07%に上昇、低下基調に歯止め

(インド)

ムンバイ発

2025年09月25日

インド統計・計画実施省(MoSPI)が9月12日に公表した8月の全国ベースの消費者物価指数(CPI、注1)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は197.0ポイント(速報値)で、前年同月比の上昇率(インフレ率)は2.07%となった。7月(1.61%、速報値1.55%から改定)から0.46ポイント上昇し、2024年11月以降続いていた低下基調に歯止めがかかった。同水準は、インド準備銀行(RBI、中央銀行)の物価安定目標(4%±2%)の範囲内にある(添付資料図参照)。

食品のインフレ率(注2)は前年同月比マイナス0.69%となり、7月(マイナス1.76%)から下落幅が縮小した。特に野菜はマイナス15.92%と、前月(マイナス20.69%)から下落幅が縮小したほか、油脂(21.24%)、果物(11.65%)、卵(3.12%)、肉・魚(1.48%)などが上昇に転じた。地域別では都市部が2.47%、農村部が1.69%だった。

市場では、先行きのインフレ動向に注目が集まっている。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのハンナ・ルチニカバ・ショルシュ氏は「7月に底を打ったインフレは今後加速する見込みだが、GST税率引き下げ(2025年9月25日記事参照)によって10月以降は上昇傾向が抑制され、2025年末までにはRBIの目標レンジ中央値近辺にとどまるだろう」と述べ、年末までの物価動向に慎重な見解を示した。一方、地場格付け会社インド・レーティングス・アンド・リサーチ(Ind-Ra)は、モンスーン期の洪水による農業被害が物価を押し上げる可能性に言及しつつも、「昨年9月の高い基準を背景に、2025年9月のインフレ率は1.7~1.9%に収まる」との予測を示し、直近では低水準が続くとの見解を明らかにしている(「ミント」紙9月12日)。

(注1)全国ベースのCPIは、基準年の2012年を100とし、農村部と都市部の各CPIを加重平均したもの。

(注2)ここでは、CFPI(消費者食品物価指数)のインフレ率を記載。

(篠田正大)

(インド)

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