セネガルのファイ大統領訪日、日本との戦略的パートナーシップ強化へ
(セネガル、日本、アフリカ)
アビジャン発
2025年09月09日
セネガルのバシル・ジョマイ・ジャファール・ファイ大統領は8月18~26日、横浜市での第9回アフリカ開発会議(TICAD9)と、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のセネガルデーに合わせて日本を公式訪問し、両国間の戦略的パートナーシップ強化を図った。ファイ大統領は20日、石破茂首相と会談し、人材育成、保健、水資源、漁業、平和などの戦略的分野での協力強化を求め、特に職業訓練などの人材育成が開発の重要な柱となるとの認識を示した。
翌21日にセネガル政府は日本企業などと、人材育成強化の協力覚書(MOU)に署名した。この協力には、豊田通商、ダイキン、ヤマハ、戸田建設、NECなどによる職業訓練を通じた技術支援などが含まれる。大統領府は「この署名はセネガルの雇用能力向上と経済競争力強化に向けた大きな一歩となる」と期待を寄せた。
また、ファイ大統領は8月25日に大阪・関西万博のセネガルデーでスピーチを行い、重要セクターとしてエネルギー、農産物の現地加工などに言及するとともに、同国が地域の物流ハブを目指す上で必要なインフラとデジタル開発にも言及した。また、国家開発目標「ビジョン・セネガル2050」の中核をなす安定的で魅力的なビジネス環境の提供を通じて民間セクターを支援するという公約を再確認し、10月7~8日に首都ダカールで開催されるセネガル投資フォーラムへの参加を呼び掛けた。
セネガルデーでは、ジェトロとセネガル政府が「セネガル・ビジネスフォーラム」を共催した(2025年8月28日記事参照)。セネガルの投資促進・公共事業公社(APIX)のバガリ・セガ・バチェリ総裁は投資の多様化と強化を訴え、セネガル荷主協議会(COSEC)のンデイ・ロカヤ・ティアム会長はダカールを起点とする複数の国際物流回廊の整備に言及した。具体的には、ダカール〜プライア(カーボベルデ)、ダカール〜ヌアクショット(モーリタニア)〜モロッコ〜欧州、さらには、マリ、ブルキナファソ、ニジェール方面への東回廊、ガンビアやギニア方面への南回廊などだ。さらに、同会長は「貿易の90%が海上輸送に依存している中、港湾・物流インフラへの投資は日本企業にとって大きな機会となる」と述べ、日本の積極的関与を呼びかけた(8月25日付「ル・ソレイユ」紙)。
(長屋幸一郎、橘欣子)
(セネガル、日本、アフリカ)
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