フランス中銀、2025年の実質GDP成長率を6月予測から上方修正、0.7%予測
(フランス、EU、米国)
パリ発
2025年09月18日
フランス銀行(中央銀行)は9月15日、最新のマクロ経済予測(フランス語)を発表し、2025年のGDP成長率を0.7%と、前回6月の予測から0.1ポイント上方修正した(添付資料表参照)。2025年上半期に在庫変動がプラスに寄与したことが背景にある。第3四半期(7~9月)以降は輸出の持ち直しが期待されている。
7月27日に大枠合意した米国とEUとの貿易協定(2025年7月29日記事参照)については、フランスから米国への輸出にかかる平均関税率を12%と試算し、航空産業など一部分野が免除措置の対象となることで、他品目への追加関税の影響を相殺すると分析した。
2026年の実質GDP成長率は、家計最終消費支出(個人消費)と民間設備投資の回復により、0.9%、2027年には1.1%と、緩やかな持ち直しを予測している。ただし、ユーロ高や原油価格の上昇、外需の減少など貿易環境の悪化により、2026年と2027年の成長率は前回6月の予測からそれぞれ0.1ポイント下方修正した。
フランス銀行は景気の下振れリスクとして、2026年の財政政策に対する不確実性が企業や家計の慎重な行動を促す可能性があると指摘している。さらに、EUと米国間の貿易協定の適用に不透明な点も残っており、特に医薬品や半導体、食品産業などの特定分野の関税措置には注意が必要だとした。
2025年の財政赤字については、GDP比5.4%と前回予測を据え置いた。下院によるフランソワ・バイルー内閣の信任否決(2025年9月11日記事参照)を受けた政治不安が消費や投資の抑制要因となるため、今後、財政引き締めが緩和されたとしても、GDP成長率の押し上げにはつながらないと分析している。
インフレ率は2024年の2.3%から2025年には1.0%へと大幅に低下し、2026年に1.3%、2027年には1.8%と、緩やかに上昇する見込みだ。エネルギーと食品を除いたコアインフレ率も2025年には1.7%まで低下し、2026年と2027年には1.6%で安定すると予測している。賃金の伸びが物価上昇を上回ることで、家計の購買力は年平均1%程度増加し、消費回復の支えとなる。
失業率は現在の7.5%前後で安定するとみられており、労働市場に大きな変化はないと予測している。
(山崎あき)
(フランス、EU、米国)
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