ジェトロ、ウズベキスタン進出法務ウェビナー開催、専門家が留意点を解説

(ウズベキスタン)

調査部欧州課

2025年09月12日

ジェトロは9月5日、「ウズベキスタン進出に向けた法務の基礎・注意事項」をテーマとしたウェビナーを開催した。講師として瓜生・糸賀法律事務所タシケント・オフィス主席代表のヤラシェフ・ノディルベック弁護士が登壇、約120人が参加した。ノディルベック弁護士による講演の概要は次のとおり。

リスク回避のため、進出前に相手企業のコンプライアンス調査や知的財産権の登録が求められる。ウズベキスタンには人材送り出し事業や日本語教育など許認可が必要な分野があるにも注意すべきだ。

投資を行う際、投資事業の地域経済への貢献度が行政機関から認められれば、投資法に基づき税制上を含む一定の優遇措置が受けられる。優遇措置の適用期間は投資規模によって決まる。この優遇措置を考慮して投資判断すると良い。経済特区ではさらなる租税や関税の優遇措置が適用される。IT部門での中央アジアのハブを目指す政府の政策を受け、ITパーク入居企業への税金は個人所得税以外ほぼすべて免除される。一方で入居者になる条件があるため、これを踏まえた戦略が望ましい。なお、優遇措置は自動的には適用されず事前申請が必要なため、専門家のサポートが推奨される。

進出方法として、駐在員事務所や現地法人の設立、PE(注1)を有する支店や事務所などの事業活動、直販や代理店契約による販売が挙げられ、それぞれ税務上、法務上の位置づけが異なる。駐在員事務所は安全な第一歩だが、営業活動を行うと課税対象となる。現地法人のうち有限責任会社の設立については最も法整備が進んでおり手続きが比較的容易だが、定款や株主間契約内容の作成には慎重な検討を要する。

外国人ビザと滞在登録(注2)に関しては、日本国籍者は30日間までの滞在であればビザが免除される。ただし、入国後3営業日以内に滞在登録が必要だ。これを怠ると行政罰金や強制退去となる場合がある。ホテル宿泊の場合はホテル側で自動的に登録されるが、アパートなどでの滞在の際に登録を忘れる場合があるので注意を要する。また、間違った種類のビザで活動した場合も行政処分の対象になる。

日本人に馴染みのない労働法上の規定として、現地通貨による月2回以上の給与支給が義務付けられている。日本との違いを踏まえ、リスクへの正しい理解が進出の成功につながる。

(注1)事業を行う一定の場所で、企業がその事業の全部、または一部を行っている場所。詳しくは、ジェトロの貿易・投資相談Q&A参照。

(注2)外国人の滞在場所を当局に登録する制度。

(鶴見敦子)

(ウズベキスタン)

ビジネス短信 c28c7e538f57be73