シンガポール、認定事業者(AEO)のインドとの相互承認開始
(シンガポール、インド)
シンガポール発
2025年09月01日
シンガポール税関は、9月1日からインドとの間で、認定事業者(AEO)の相互承認(MRA)の運用を開始すると発表した(2025年8月22日付シンガポール税関資料)。同税関は5月にインドと、AEOプログラムのMRA取り決めに調印していた(2025年5月29日記事参照)。
MRAに基づき、シンガポール税関のAEOプログラム「Secure Trade Partnership-Plus(STP-Plus)」(2025年5月29日記事参照)の認証を受けた企業(STP-Plus企業)は、インドへの輸出貨物の書類審査や貨物検査などの通関手続きが簡素化される。同様に、インド側でAEOプログラムにより認定を受けた企業(INAEO企業)はシンガポールへの輸出貨物について、同様の簡素化措置を受けることができる。
インド向け輸出を行うSTP-Plus企業は、インド中央物品関税局(CBIC)に登録された海外事業者識別番号(OBIN)を取得(注1)する必要がある。インドの取引先がCBICに提出する輸入申告書にこのOBINを記載することで、STP-Plus企業はAEOステータスを認められる。これにより、OBINとインドの取引先の輸入輸出コード(IEC)がリンクされ、インドへの輸出が円滑化される。CBICは既存の全てのSTP-Plus企業に対してOBINを発行しており、シンガポール税関は8月25日までにOBINを各社にメールで送付した。
シンガポール企業がINAEO企業と輸出入取引を行う場合は、INAEO企業からAEOコードを入手する必要がある。インドAEOコードは、17桁の英数字(INに続く15桁の数字)で構成され、AEOコードはシンガポールの通関申告サイトのトレードネット(TradeNet)上で申告する必要がある。
シンガポールでAEOプログラムに基づく通関手続きを簡素化するには、STP-Plus企業やSTP企業(注3)は、TradeNetの輸入・輸出申告書にSTPコード(AEO、SGに続く12桁の英数字)を規定の形式で申告する必要がある。
(注1)STP-Plus企業は、インド輸入業者の情報をOBINフォームにて提出することが求められる。すべての輸入業者の情報を一度に提出することも可能だ。同じインド輸入業者へのその後の輸出については、フォームを再提出する必要はない。ただし、新たなインド輸入業者と取引する場合は、新規輸入業者の詳細を記載した新しいOBINフォームをCBICに提出する必要がある。
(注2)詳細な手続きについては、8月22日付シンガポール税関資料(既出)参照。
(注3)シンガポール税関のSTPプログラムは、世界税関機構(WCO)の「グローバルな貿易の安全性と円滑性を確保するための基準フレームワーク(SAFE)」に基づく自主的な認証プログラム。グローバルなサプライチェーンのセキュリティーを向上させるため、企業が強固なセキュリティー対策を採用することを奨励している。より高度な対策を実施している企業はSTP-Plusの対象で、パートナーとのMRAを通じた追加的な円滑化も享受できる。
(島田幸一郎)
(シンガポール、インド)
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